Arthur O'Bower 13
「セオドリックだって仕事もあったし、シーラもアレに半分魂を奪われてたようなものだし、ロビンはロビンでどうしようもなくて、その中でも
「……こういう事を言う筋合いがないことはわかっているのですが、そう言っていただけると、本当に救われます」
少しばかり、セオドリックの表情は安堵に
でも完全に
「シンシアにも、他の様子を気にしてくれる方にも頼りっぱなしで……シンシアに、もう少ししっかり相談できていればと、今回反省しました」
「まあ、僕らみたいなのは
「
その言葉に笑ってみせれば、セオドリックとシーラは小さく苦笑した。
「あの、もしよろしければ、回復してからでいいので、我が家で夕飯でも、どうでしょうか。ロビンも、貴方に懐いているようなので」
シーラの申し出。本来なら断るべきでないのはわかっているけれど、左目のことを隠し通すなら、避けるべきだ。
「……大変ありがたいお誘いなのですが、ちょっと帰らなければならない事情ができまして」
左目の事はシンシアに言ってあるので、話を合わせてはくれるだろう。
そして、まるっきりの嘘でもない。
米。炊きたての粒の立ったお米、丼物、食べたい。
ロビンがまたしゅんと眉尻を下げた。
「キミ、帰っちゃうの?」
「うん、ちょっとあってね」
半分ぐらい胃袋がホームシックで。……口が裂けても言えないな。
「また、くる?」
「うーん、それはわからないなあ」
帰ったら、こいつ外に出ればとは言ったがそこまで長い間とは言ってないぞ、ようやく帰って来たなと周囲が捕まえにかかる可能性が高い。
それに、また来ても、そもそもシンシアのところに来るかどうか、というのもある。
じゃあ、とロビンが青い目で真っ直ぐに僕を見上げてきた。
「ぼく、おおきくなったら、キミのところ行ってもいい?」
「日本に? いや、うん、連絡くれれば、案内とか、するけれど」
シーラとセオドリックがあわあわと、この子ったら、などと困っているが、僕としてはその条件なら別に
その「おおきくなったら」がどれぐらいを指してるかわからないけど、きっとそれまでに右目だけの視界には慣れることができると思う。
高校ぐらいと考えても十年ぐらいは
「すみません、本当に、
「いえいえ、むしろご両親であるお二人には申し訳ないですが、光栄です」
ちらりとシンシアに視線を送れば、
「さて、鼻血とはいえ、昨日あんたはあんだけ出血したんだから今日一日は安静にすること! あたしらもいつまでもキミに負担かけるわけにはいかないんだし、
ね、とシンシアが言って、シーラとセオドリックも目を合わせると一つ
「それでは、本日は失礼します」
「ほら、ロビンも」
シンシアがドアを開け、先導されながらセオドリックが、その後ろをシーラがロビンの手を引いて出て行く。
それでも、振り返って、少しばかり不服そうな顔で、ばいばいと手を振るロビンに手を振り返す。
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