Arthur O'Bower 6
シーラとロビンの様子を目を細めてみていたエインセルが、くるりと衣の
「さて、
「ええ、何一つとて
こちらに話しかけるエインセルに合わせて立ち上がり、一礼をする。
エインセルはくつくつと、玉虫色の目で楽しそうに、嬉しそうに、
「ああ、本当に楽しかったわ。ああ、本当に終わりが残念でたまらないわ。それに、本当に
すっと
受け止めた
「まず、一つ。お前は、渇望するその場所には二度と至れない」
それは、
三年間、主観ではたった三カ月だけ閉じ込められていた、あの世界。
――あれは人ならざるものの領域で、だから七つで追い出された。
それでも
「
「……それは、最初からでは?」
そう納得しているものをまざまざと突きつけられるのは、心を
だから
「ふふ、あら、人というのは可能性の
しかし、エインセルはわざと意地の悪そうな笑顔を浮かべてそう言うと、僕から身を離す。
渇望すれども届かない、むしろ届くべきではないものとしているそれを確定されるぐらいならば、それは確かに寛大な処置と言えるだろう。
「そうね、そして、もう一つ。これは呪いで祝福。もとより人に収まらぬのに人であるお前を
ぴっとエインセルが僕の胸元、心臓の
その指がつうっと僕の左目に向かい、そして、そのまま僕の視界の半分はエインセルの手で埋められた。
反射的に
「……本当に強情で
「はは、それでは
眼球に触れるぎりぎりで静止しているエインセルの指先に、
呪いで祝福って何する気なのかが、怖い。
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