How many miles to Babylon? 6
「礼儀は欠かさない方がいいだろ?」
「そりゃそうだね。ガーデンテーブルセットはたぶん小さいのが階段下の物置に入れてるはずだから、勝手に探しとくれ。ティーセットはすぐ探す。お茶菓子は、こないだ買ったカラントのエクルズケーキがあるのと、ミンスミートと冷蔵パイシートがあるから多少のミンスパイなら作れる」
「礼儀はかかさず、とはいえ、
こういうのは意識が大事なのである。
よくある昔話のテンプレだってそう。
余裕があるはずなのに旅人を一晩泊めなかった金持ちが没落し、余裕がなくとも精一杯に旅人をもてなした貧乏人が成り上がる、福徳を得る、というのはそういうことだ。
そうと決まれば、である。
「そしたら僕が物置
「とりあえず、まずはミンスパイをオーブンに放り込んでから、食器棚探すかね。ああ、あのドアで区切られた範囲なら、ロビンは動いて大丈夫かい?」
「そうだね。出入りはあのドア、それ以外は壁扱いのはずだし、仮にキッチンに及んでなくても、戻れば済むはずだから、様子見でシンシアの手伝いでもいいか」
リビングダイニングってこういう時、便利だよね。
空のカップを置いて、即座に立ち上がる。善は急げ。
「というわけで、僕は物置に行きます。一応庭にセットまでして、それから時間があればこっち手伝うよ」
「相変わらず切り替えが早すぎる……ロビンはこんな大人になっちゃダメだからね」
そんなシンシアの小言を背に、僕はリビングダイニングを出た。
ドアを閉めて貼ったメモを確認したが、
「……うーむ」
いや、しかし。
階段下の物置のドアを開けつつも、いやにちりちりとした肌を
「そこまで敵視されるかあ」
あ、あれかあ。敵の敵は味方理論で内と外の対立的に、味方と思われてたから裏切り者と思われてるのかあ、なるほどなあ。
物置内の豆電球に照らされた薄暗く
見渡すと、右手の壁には作り付けの棚があって、そこにいろいろ置かれているのが目に入った。
ちょっとこれは、うっかり頭上から何か落ちて来ないか、注意せねばならないな。
そう思った瞬間、
「あぶね」
ごっとん、と音を立てて転がったのは、なんかよくわかんない謎の木の置物だった。
ごっとんって、結構詰まってる音したぞ、やっぱり妖精ってヤのつく怖い職業なのでは。
「……
気休めにそう言っておく。
妖精が妖精である理由。それは人ならず、また神ならぬが故である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます