Good fellows' Robin 9
「ロビンはシンシアをどう思ってるの?」
大人を見れば
ロビンはサンドイッチの最後の一口を入れた口をもごもごしながら、シンシアをちらりと見た。
「大丈夫、大丈夫、シンシアに怒られるとしたら僕だから」
「……こんなこと言うヤツより、よっぽど
とうとう、シンシアが僕を指差してそう言った。
ロビンは今度は僕の方を見てから、口の中のものを飲み込んだ。
「……シンシアのはキレイで、やさしいの」
シンシアが眉を上げる。
それなら、と続けて問うてみる。
「他の
「……シンシアやキミぐらいキレイなのはみないの。でも、こわいのとか、かなしいのがいるの」
思い出したのか、少し身を
さて、そしたらもう一度泥でも
「ロビン」
シンシアが口を
「キミが今まで見た中で、一番怖かったのは誰?」
「……」
身を
シンシアの視線が
ロビンは僕を
「……キミ、なんでもわかっちゃうの?」
「まさか。僕だって知らない事、わからない事はあるよ。だから、知りたいし、わかろうとして、いつだって必死に頭を回すのさ。だから、時々気付いたら、ゴールに着いてる」
「……」
「でもね、結局それは僕の思考でしかなくて、音や記号という言葉や概念でしかない。それは、それそのものとはかけ離れている。
そこまで言って、言い過ぎたな、と思う。
いくらなんでも、小学校の低学年が理解できるはずもない。
シンシアの
「……難しかったね」
「どういうこと?」
苦笑して言えば、ロビンは
「無理して理解することでもないよ、ロビン。こいつはこういう
まったくもって正論をシンシアが言うが、しかし、ロビンは首を横に振った。
「がんばって、かんがえるよ。だから、おしえて」
「……そうだなあ」
どう伝えようか。せっかくならついでに真実がわかるようにしようか。
今回についてはどうやったって、
「うーん、そうだねえ、例えば、僕はキミの
「……うん、ちがうの。
シンシアが
それを横目で見てから、まあそうなると十中八九
「そう。あくまで、僕の頭の中のもので目の前で起きたことでもなければ、経験したことでもない。けれど、言葉でこうして表してしまうことはできる」
「……うそをつけるってこと?」
「そうだねえ、そうでもあるんだけど、例えばリンゴって言ったって、本当にその場にリンゴがあるかどうかはどうでもいいだろ? でも現実としてリンゴは木だったり、実だったり、花だったり、形態こそ変われど、リンゴと呼ばれる実体は確かに存在することはあるけど、リンゴと呼んだ段階でその場にその確実性はない」
今シンシアの眉間に寄ったしわは、どちらかといえば、理解が
ロビンも一生懸命考え込んでいる。
「……えっと、リンゴって言った時に、そこに本当にリンゴがあるわけじゃない?」
「そうだよ。今だってロビンの目の前にはリンゴはないじゃないか。けれど、ロビンはリンゴと口にした。加えて、リンゴって言ったところで、リンゴの何を指してるかは変わるじゃないか、花なのか実なのかとかね。言葉において、それに
シンシアの眉間のしわが更に深くなったタイミングで、呼び鈴が鳴った。
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