7 織歌の仮説1
◆
「じゃあ、私の仮説、説明します。ロビンさん、
「はいはい、良きにはからうよ」
どうしてこうなったのか。
「えーっと、説明文のセオリーとしてはショートケーキのイチゴから、ですよね。というわけで、端的に言いますと、アレは思念と情景の焼きつきで、怪談として語られぬ間に
「うん、全然有り得るね」
ロビンがそう
「志向性を付与するものの中には、
「はい、そうした知ってることがトリガーの怪談もありますから、当然です。今回は語られなくなって忘れられ、潜在化していたと考えられます」
それを聞いて、
思い出してから、なんで思い出せてしまったんだろう、と少しげんなりした。
「けれど、それは今回、正体を考える上ではあまり重要ではありません。今回、正体を考える上でのポイントは、誰の思念と情景が焼きついたか、です。元々の怪談では、これは『頭から飛び降り自殺した生徒の幽霊』として語られます。この生徒については、少なくともこの怪談で、これ以上のバックグラウンドは語られません。ということは、その生徒自体はこの怪談の主題ではないのです。それこそ、その飛び降り自殺の理由ですら、どんな
それではまるで、その生徒を
しかし、
「その時点で、この怪談から
「そうだね、幽霊の話に恨みを始めとした理由は
だが、
「……そ、そんな言い方って」
「ナイ、と思う?」
横のロビンが、そう真由の言葉を
「優しいね、マユは。怖い思いをしたのに」
「だって、そんな、飛び降り自殺、ですよ。絶対、何か、誰とも分かち合えない、苦しみがあったはずじゃないですか」
「そう、みんながそうして優しいから、幽霊の話というものは存在しているのです。そこに怪奇現象があって、過去にそれらしい相応の何事かがあれば、だから恨みを晴らそうとしているのだと、そういう理屈付けで話ができるのです」
「これもほぼセンセイの持論の受け売り。だけど、マユ、知らない? スガワラノミチザネって」
「スガワラ……え、
いくら
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