第37話 対岸
海よりも広く白い川を渡る時
対岸に佇む貴女を思う
力いっぱいに船の櫂を握り締め
貴女へと向かう掌は既に血を流し
出会えるはずの微笑みを心で描けば
少し休んで汗を拭く
岸に船を寄せ
出迎えてくれた貴女は涙を流し
空から落ちれば雨になる
ならば
貴女の肩を抱きしめ
ここから離れないでおこうと言えば
全知全能の怒りに触れると
貴女の流す涙が嵐になる
明日の朝
元の対岸へと櫂を握り締める私を見ないで欲しい
涙ぐんでいる私を見てはいけない
私の流す涙もやがて地上を濡らす大雨になるだろうから
泣かないで笑ってほしい
貴女の住む其の対岸から離れる旅に出るだけだから
愛してくれた全てが
貴女の全ての優しさだけだと
知っている
此の白く輝く天空の川を
私がまた渡る時が来るまで
さよならじゃないんだ
ほんの少し
貴女から離れるだけだ
愛しているんだ
此の空に輝く全ての星に誓って
其のためだけに私は此の暗い天空に住んでいる
何度も伝えよう
愛している
それだけなんだ
それだけのために私は
明日から貴女の居ない天空を彷徨うだけ
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