第36話 風鈴
七月に入ったので風鈴をベランダに出した
南部鉄器の風鈴は
硬い音を長く伸ばし
風が通る心地よさを運んでくれている
音楽を鳴らしていたのだけれど
風鈴の音が聞きたくて
スイッチを切ったんだ
風が作ってくれる音が
まるで風が見えているように心に溶け込んでいく
風が風景を作る瞬間だ
風は私の中で夏の風物詩を映す絵画のように
暑い季節を運んで来る
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