第5話 五月雨の道
暗くなった帰り道
傘をさしての戻り道
風は生ぬるいのに
冷たい雨が降る
疲れた体を引き摺るように
片足を上げ一歩づつ
コツコツと靴音を響かせ
何を踏んだのか
チェーンの付いたブーツが
ガチャリと音を立てる
歩いて帰る道は
時の回り道
急ぐことのない道は
遠い過去への寄り道で
目指す場所へ歩く足と
思考する頭はばらばらになる
誰も通らない静かな街
靴音だけが響く暗い街灯の下
水晶のように光る雨が見えた
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