第2話 初夏のエメラルド



太陽が真上に来る前の朝

少し散歩に出ようと下駄を履き歩き出す


それでも

ほんの少しのつもりが陽気に誘われ

隣の村まで歩いてしまう


アスファルトの道の上から見下ろした田園には

土の下から芽を出したばかりの小さな緑の葉が見える


幻か幻影か

燃えるような日差しの中

実った野菜を刈る農夫の姿までが見える


その横には

春の菜の花が黄色く


黒に縁取られた

エメラルドグリーンの蝶が舞う

はて?

この蝶の名は


広がる田園風景を横目で見ながら

そこまで来ている夏に思いを寄せると


鼻緒が食い込んでいる足先で

親指と人差し指の間の皮膚が痛みを訴え

はてさて何処まで歩けるのかと


高下駄の音高く

カランコロンと

暑い夏へと歩を進める

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