第3話
ぼくは気を失ったみたいだ。
目を開けると、それぞれ椅子の上に座るように固定された大人たちが列を作っている。あの隠れろと言ってくれた中年女性も大型テレビを間近で観せられていた。
ぼくと春奈も同じで、椅子に針金で固定されて白いスーツ姿の美人のお姉さんたちに「大型テレビを観ろ!」と脅された。
テレビには色々な番組が飛び飛びで映し出される。
美人のお姉さんたちは、中年女性や他の大人たちに「さあ、メガネを買うか?! 買わないか?!」と脅していた。
大人たちは怯えた目で、みんなテレビを凝視していた。
隣の春奈はウインクして、
「当然、買いますと言うのよ」
悪戯っ子のように笑った。
ぼくと小松と春奈は新調したメガネを掛けて、店を出た。
外は相変わらず快晴だった。
本田は庭の地下へと通じる階段をあの後見つけただろうか?
あの美人のお姉さんたちは、メガネ愛好家のボランティアの人たちだった。
数百年の歴史を持つアイ玩という会社は、日本屈指のチェ―ン店で、在庫のメガネを赤字覚悟で大量廃棄処分しようとしていたのを、美人のお姉さんたちが町の人々全員にメガネを掛けてもらうという運動をして防いでいたのだ。
過激なボランティア活動だったけど、けれどとても楽しかった。
ばくは町を彩る虹色のメガネを購入した。
ぼくはこの町と春奈が好きになった。
捕まっていた人たちはぼくと春奈の助言で、みんなメガネを買うことにして家に帰って行った。
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