第109話田中珈琲豆店でのケーキイベント(1)

フランス、ベルギー、デンマーク、イタリア、イギリス、ドイツの大使夫妻は、改装されたばかりの、田中珈琲豆店の二階ホールに入り、目を見張っている。


「これは、エレガントで、清楚で・・・」

「マホガニーの一枚板のテーブルですね、これは素晴らしくシックな・・・」

「壁は白地にi花柄の模様、窓枠も美しいね」

「天国のようなアール・ヌーボーですよ」

「まさか、日本で見られるなんて」


田中保が説明をする。

「柿崎孝太の妹の真奈と、パティシエの松浦奈津美がデザインしました」

「工事は、地元元町の業者です」


フランス大使

「そういうのがいいね、地域に根差すような」

イギリス大使夫人

「何でも大手の業者を頼りがちは、機械的過ぎます」

「私も賛成です」


官房長官と県知事、市長が入って来た。


官房長官が大使夫妻に頭を下げる。

「本日は、皆様ありがとうございます」

その官房長官にならい、県知事と市長も頭を下げる。

県知事も挨拶。

「ようこそ、お待ちしておりました」

市長も続く。

「ここ、横浜は、開港以来、多くの外国の御方を受け入れて来た歴史が

あります」

「その先人たちも、皆様のお越しを喜ばれていると思います」


ベルギー大使が、胸に手を当てた。

「それは、忘れてはならない歴史ですね」

「母国の先人たちが、この横浜を歩いていた、と言う・・・空気でしょうか」

イタリア大使夫人は笑顔。

「その横浜で、そして横浜で育った世界一のパティシエ柿崎孝太さんのケーキをいただけるなんて・・・これはかなり、特別なイベントになります」


他の大使夫妻も頷くなか、官房長官は、含みのある笑顔。

「今、孝太君は、新作ケーキの準備をしておりますが・・・」

「柿崎家の歴史に関わるものにも、チャレンジしたようです」

「どうか、ご期待ください」


官房長官の言葉が終わると、二階ホールの扉が開いた。


祥子と美和が入って来て、全員に紅茶を配り始める。

祥子

「孝太以下、全員、気合が入っています」

美和

「どうぞ、お楽しみください」


各国大使夫妻は全員笑顔、期待が高まっているようだ。

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