第100話日本外務省高村次官の脅し

大使夫妻たちが集まる日の前日の昼、外務省の高村次官から、孝太に電話が入った。


高村次官は最初から、威圧的な口調。

「フランス大使夫妻や、ヨーロッパ各国の大使夫妻が、そちらに行くとお聞きしたのだが」


孝太

「はい、そのような連絡を受けて、柿崎パン店と田中珈琲豆店の一同、準備をしております」


高村次官の声に怒気がこもる。

「困るんだよね、そんな勝手な約束をして」

「我々には、一言の連絡も了解もない」

「我々を馬鹿にしているのか、君は」


孝太は戸惑った。

「そんなルールとか、法律は聞いたことがありません」

「外国の大使が、民間の店に入る場合には、外務省に連絡とか、報告が義務付けられているのですか?」


高村次官は、馬鹿にしたような口調。

「たとえばね、一流ホテルなら、警備員もいる」

「でもね、君たちの田舎の小さな店では、そんな人雇っていないだろう?」


高村次官は、そこまで言って、再び、声に怒気をこめる。

「もし、事故、ああ、食中毒も含めるよ、何かあったら、どうするの?」

「君らとは、身分が違う、超セレブの方々」

「何かあったら、日本政府として、世界的に避難の的になる」

「その原因を柿崎孝太が作る?」

「当然、君の店は閉店、田中珈琲豆店も同罪」

「損害賠償だって払えないだろう?」

「どうするつもりだ!」


孝太の声にも怒りがこもった。

「日本の政府は、日本国民と外国の親善に何の協力も保護もせず」

「万が一の事故の責任だけを、押し付けると?」


その高村次官と孝太の険悪な会話を、真奈が聞き取っていた。

すぐに保に連絡。

保は、また「別の人」に連絡を取っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る