第99話フランス大使夫人からの電話

田中珈琲豆店での話し合いの翌日、フランス大使夫人から、孝太に連絡が入った。

「パン屋さんと珈琲豆店がお休みの日に、伺ってもいいかしら」

「営業日では、とても無理でしょうから」


孝太は、驚いた。

「はい、問題ないと思います」


フランス大使夫人

「私の他には、夫のピエール、それからベルギーとデンマーク、イタリア、イギリス、ドイツの大使夫妻」

「全員が、孝太君に興味を持っていてね」


孝太は、ますます、驚く。

「それだけの人数になると・・・隣の田中珈琲豆店ですね」

田中珈琲豆店に、その旨を伝えると、保が、二つ返事でOK。


孝太

「場所は確保しました」


フランス大使夫人

「ありがとう、無理を言って」

「ケーキを申し訳ないけれど・・・」


孝太

「はい、横浜らしい新作があります、それで」


フランス大使夫人の声が弾んだ。

「え?そうなの?ますます全員が喜びます」

「下手なホテルより、田中珈琲豆店のほうが、秘密が漏れない」


孝太は意味不明。

「秘密・・・とは?」


フランス大使夫人は強い声。

「クイーンホテルの、あの馬鹿者をやっつける話」

「とにかく、ケーキを美味しく食べられるように、私たちがキッチリ始末をつけます」

「孝太君は、美味しいパンとケーキを作るだけでいいよ」


孝太は首を傾げるけれど、フランス大使夫人は笑い声である。


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