第97話孝太はクイーンホテルの横暴に、一人悩む。

田村支配人との電話を終え、孝太は悩んだ。

「ケーキイベントで成功したことが、こんな酷い結果になるなんて」

「親父に何と言えば・・・申し訳が立たない」

「せっかく継いだ、伝統ある柿崎パン店も、これでおしまいか」

「ヴィヴィアン、アラン、ミシェルに何と言ったらいい?」

「ヴィヴィアンもアランも、はるばるパリからか・・・土下座でも済まない」

「田中珈琲豆店への影響も大きい」

「美和お嬢様、松浦奈津美さんにも、申し訳ない」

「深田美紀には、偉そうなことを言っておきながら、この始末か・・・」

「真奈、祥子、保さんも、呆れて物が言えないか」


「そうかと言って、何をして来るのかわからない相手」

「ヤクザを使って、暴行やら、下手をすれば、殺しまで」

「しかも、日本の警察も政府も、全く頼りにならないとなれば」

「柿崎パン店の継続のために、命まで危なくさせるわけにはいかない」

「仕方ない、親父の墓の前で詫びるか」


孝太は悩み過ぎて眠れず、フラフラするし、食欲も酷く減った。

そうは言っても、柿崎パン店と田中珈琲豆店は相変わらず大盛況、大行列。

「仕事に穴を開けられない」

「お客様に変なパンやケーキを出すわけにはいかない」

孝太は、不調を表面には出さずに、「作業」に取り組んだ。


しかし、孝太以外の柿崎パン店と田中珈琲豆店のスタッフ全員が、孝太の異変に気がついていた。

祥子が全員に声をかけ、業務終了後に、田中珈琲豆店で、孝太に事情を聞くことになった。

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