第94話新作ケーキを見た深田美紀

私、深田美紀が田中珈琲豆店のケーキ厨房に入って行くと、孝太さんと、新しいパティシエの松浦奈津美さんが、腕を組んで、何か話し合っている。


その、二人の前には新作らしいケーキ。


孝太さんが、私の顔を見て。話を一旦止めた。

「あれ?美紀さん、来てくれたの?」

「ああ、この人が、今度手伝ってくくれる松浦奈津美さん」


「あ・・・はい!」

と答えると、松浦奈津美さんが、すごく可愛らしい笑顔で、「松浦奈津美です、よろしくね」

と自己紹介。


私も気圧されながらも「深田美紀です、よろしくお願いします」と挨拶。


「それでね、美紀さん」

「これを見てもらいたい」


孝太さんが手招きしたので、「新作ケーキ」のことと、察した。


「はい・・・」

少し、いや、かなりドキドキしたけれど、二人の前に置かれた「新作ケーキ」を見た。

そして・・・驚いたし、目を奪われた。


「え・・・これ・・・」

「すごい!こんなのあり?」

「かっこいい!」


チョコレートケーキの上に、ゼリー。

そのゼリーの中に、横浜らしきもの、赤レンガ倉庫、海、船などのデザインが浮いている。


この時点で、私の心から、「気圧され」「自己批判」のマイナス思考は消えた。


「これは・・・紅葉羊羹のアレンジ?」

「他にも、いくらでもアレンジできますよね!」

「面白い!これは・・・きれいで美味しくて、楽しい!」


とにかく、この新作ケーキを、「私も作ってみたい!」その気持ちで満ちてしまったのである。

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