第92話深田美紀の反省と、祥子からのメール
私、深田美紀は、孝太さんから、
「明日から、もう一人パティシエが入ります」
「名前は、松浦奈津美さん、実家は元町のケーキ屋」
「パリでも修業経験があり、腕はしっかりしています」
のメールが入り、動揺し、複雑な気持ちになった。
「確かに、忙しくて、手が回らない感じはある」
「祥子さんや美和さんも、厳しい」
「特に美和さんは、赤坂のホテルの時から、仕事には厳しい人」
「ケーキの切り方を細かくチェック・・・しっかりして!とか・・・」
「私が忙しくて焦ってしまうから・・・が原因だけれど」
自分自身が反省するべきことも多い、と自覚はしている。
「柿崎孝太さんと、仕事をしているだけで、満足してしまった」
「孝太さんの指摘は、元々厳しいから、ゆっくりこなせるようになればいい、と考えていた」
「私のミスを孝太さんが手直しをしている時も、腕のレベルが違うのだから、当然と思っていた(孝太さんの負担になっているとは、思っていたけれど)」
「そもそもホテルの外部研修で、ミスをしても、ホテル本体には直接関係ないと、甘く考えていた」
「確かに同じテーブルに同じケーキを出すのに、大きさが違えば、叱られるよね・・・」
「その意味で、自分が忙しいで精一杯、お客様視点に欠ける・・・美和さんの指摘も、もっともだ」
「私が客なら・・・呆れることを、私自身が忙しいことを理由に、やっていた」
「しかも、ケーキの大きさだけでなく、盛りつけも含めて」
私は、新しく入る「松浦奈津美さん」との関係が、心配になった。
「あの厳しい孝太さんが、腕を保証するのだから・・・」
「当然、私よりは、上」
「はぁ・・・甘かったか・・・」
肩を落とした私に、祥子さんからメールが入った。
「美紀ちゃん、明日から気合を入れてね!美紀ちゃんなら出来るよ」
「それと、今、孝太君と奈津美さん、新作ケーキを始めている」
「面白そう、すごく、きれいな感じ」
私は、家になどいられなかった。
「今から行きます!」
すぐに、返信を打ち、アパートを出た。
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