第91話新パティシエ松浦奈津美(3)

「あらー・・・奈津美さん!」

「お久しぶり!」

真奈は、田中珈琲豆店に入って来るなり、大喜び。

奈津美の隣に座る。


孝太は真奈に説明。

「奈津美さんに手伝ってもらおうかと」

「実は、前々から、うちに来たいと言われていて」


祥子も続く。

「美紀ちゃんも、忙しくて、手が回らないこともあるから」

「やはり3人ぐらいは、最低必要と思うの」


美和は真奈の顔を見る。

「孝太君が・・・美紀ちゃんの仕事を、一つ一つ手直しするのも、見ていられない」

「今の状態は、孝太君に負担が大き過ぎる」


真奈は「事情」がわかっているので、頷く。

「そうですね、奈津美さんが来てくれるなら、心強いです」


奈津美は孝太の顔を見た。

「明日からでいいでしょうか?」

「仕事がしたくて、孝太さんのケーキを覚えたくて」


孝太は少し考える。

「まだ、美紀さんに話をしていないけれど」

「驚くかな、メールは打っておくよ」


祥子は、孝太に微笑んだ。

「大丈夫、そういう話は、任せて」

「美紀ちゃんが沈みこんだら、私が説得する」


美和も、少し笑う。

「その通りかな、祥子さんの言葉で、ヴィヴィアンも私も」

「祥子さんは、さすが、と思うよ」


祥子は、奈津美の手をしっかり握る。

「明日から、お願いします」

「すごく忙しいと思うけれど」


奈津美は笑顔で頷く。

「わかりました、その気で来ます」


すると、孝太が、いきなり立ちあがった。

「奈津美さん、厨房を見て」


奈津美は、「はい」と元気よく立ちあがり、孝太の後をついて、厨房に入って行く。


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