第81話ケーキイベント(3)紅葉羊羹

各国大使館夫人出身地のケーキの次は、「日本」ならではのケーキ。

それぞれのテーブルの上に配られると、孝太が説明。

「これは、紅葉羊羹と言います」

「小倉羊羹の上に、秋らしく、紅葉を散らして見ました」


(孝太の説明の中、抹茶も配られている)


「この紅葉羊羹と抹茶で、日本ならではの風情を感じていただければ、幸いと存じます」

孝太の説明は端的、そこで終わった。


フランス大使夫人

「これは・・・まさに日本の秋・・・美しい御菓子」

ベルギー大使夫人

「絵画的な、芸術ですね・・・食べるのが惜しいような」

デンマーク大使夫人

「いや・・・美味しい・・・程よい甘さで、抹茶とも良く合います」

イタリア大使夫人

「これは初めての味です、実に美しく、美味しい。日本文化の奥深さを感じます」


フランス大使夫人がステージ中央に立ち、感謝の言葉を述べた。

「本当に私たちの我がままでしたが、どうしても柿崎孝太さんのケーキが食べたくて」

「しかし、孝太さんは、御勤め先の、ここの赤坂クイーンホテルをお辞めになり、何とお父様のパン屋さんを再開されたと聞きまして、正直焦りました」

「しかし、孝太さんの、類まれなご厚意で、至高のチョコレートケーキ、、それから、うれしい私どもの出身地のケーキ、そして日本の美と美味しさあふれる紅葉羊羹と抹茶をいただきました」

「しかも、私たち加えて、大使館員の分まで」

「日本の、日本人のおもてなし、存分に味合わせていただきました」

「本当にありがとうございました」

フランス大使館夫人の感謝の言葉は、特別室に集った全員の拍手を持って終わった。


その後は、官房長官の締めの挨拶。

「我が日本が誇る柿崎孝太君のケーキ、喜んでいただいて、本当にうれしく思います」

「また、我が日本と、フランス、ベルギー、ノルウェー、イタリアとの親善も、ますます深まったことと、深く実感いたしました」

「本日は、本当にありがとうございました」

官房長官の挨拶も、大きな拍手、ケーキイベント全体が終了した。


尚、柿崎パン店と田中珈琲豆店の面々(柿崎孝太も当然入る)は、大使館夫人や大使館員たちに「お土産のパン」を配り、また喜ばれている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る