第73話孝太が考えた「日本」のケーキ ヴィヴィアンだけに

「日本でのケーキイベント」を意識して、孝太が考え出したのは、「紅葉羊羹」。


「季節は秋」

「色鮮やかに作る」

「大きく作って切り分ける」

「飲み物は抹茶、抹茶はヨーロッパでも人気になりつつある」


孝太は、ヴィヴィアンだけに、考えを打ち明けた。


ヴィヴィアンは、孝太の描いた絵を見て、目を丸くする。

「日本には、こんな美しいケーキがあるの?」

「羊羹の上に紅葉が散って・・・これは食べる芸術?」

「見ているだけで、ウットリする」


孝太がホッとしているとヴィヴィアンは、孝太の手を握る。

「私も作ってみたい、教えて!」


孝太は頷く。

「ありがとう、日持ちもするから、お土産にもできる」

「柿崎パン店と田中珈琲豆店のスタッフ、それ以外の大使館にもお土産で持たせようかと思っていた」

「でも、作る直前まで極秘にして欲しい」


ヴィヴィアンは孝太の顔をじっと見た。

「何故、私だけに?」


孝太は、即答。

「外国人から見た和菓子のイメージを知りたくて」


ヴィヴィアンが頷くと、孝太は続けた。

「ヴィヴィアンの職人としての力と感性」

ヴィヴィアンは満面の笑顔になる。


孝太は、さらに続けた。

「ヴィヴィアンは、信頼できること」

ヴィヴィアンは感激のあまり、孝太に抱きついている。

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