第62話ヴィヴィアンの問いかけ

ヴィヴィアンが美和に声をかけた。

「見ての通り」

「孝太は今がパンパンの状態」

「かなり疲れもたまっている」

「パンも焼いて、隣の店でケーキを焼いて、しかもケーキイベントも考える」


美和は「うん・・・」と不安な顔。

「孝太・・・持つかな・・・壊れるかも」とつぶやく。


ヴィヴィアンは続けた。

「焼けば焼くほど売れる状態、午前中には売り切れてしまう」

「それで、フランス大使館を通じて、もうすぐ焼き手と売り子が入る」

「他の国の大使館も、協力してくれるけれど」

「そうでないと、午後のパンが無い」

「後は、最低でもパテシィエがもう一人、田中珈琲豆店の売り子も一人必要かな」


美和は頷く。

「早くしないと、全員がパンクするのかな」


ヴィヴィアンは、美和の顔をじっと見た。

「ねえ、美和、あなたは孝太の近くにいたいの?」


美和は、あまりの直接的な問いに顔を赤くする。

しかし、その通りなので、「うん」としか、答えられない。


ヴィヴィアンは、さらに続けた。

「・・・祥子と孝太の仲」

「それがあっても?」


美和の顔は真っ赤。

言葉が出て来ない。


「後は、自分で決めて」

ヴィヴィアンは美和から離れ、小麦粉をこね始めている。

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