第36話孝太と祥子は、そのままベッドに横たわった。

孝太と祥子は、そのままベッドに横たわった。


孝太は天井を見る。

「ホッとする」

祥子はクスッと笑う。

「私も・・・」

孝太も笑う。

「違和感が全くない、大人になっても」

祥子は孝太の手を握る。

「それはそう・・・一緒に育ったんだから」

「何度も、こんなことがあった」


孝太が話題を変えた。

「明日は真奈の退院、病院に行って来る」

祥子

「うん、よかった、一緒に行こうか?」

孝太は首を横に振る。

「二人だけで話したいこともある」

祥子は、孝太の気持ちを、すぐに察した。

「ああ、そうだね、それじゃ、任せて」

孝太も祥子の心を読む。

「うん、真奈の好きな、あれを」

祥子は、また笑う。

「何言っているの?」

「孝太も真奈も好きな散らし寿司でしょ?」

「と言っても、孝太と真奈ちゃんのお母さん直伝だけど」

孝太はプッと吹く。

「まあ、そうだったかな」

祥子の声が少し変わる。

「私の母さんは、小さい頃に死んじゃったから」

「孝太と真奈ちゃんのお母さんが、私のお母さんみたいなもの」

「いろいろお世話になってね」

孝太

「うん・・・よく真奈と3人で話していたね」

祥子がまた笑う。

「旦那の文句と・・・孝太の文句もあった」

孝太

「・・・言いたい放題?」

祥子

「うちの父さんも、孝太の父さんも孝太も・・・3人とも、職人でしょ?」

「それはまあ、いろいろと」

孝太

「だんだん、怖くなった」


祥子は孝太の手を強く握る

「孝太・・・でもね・・・」

孝太も握り返す。

「うん・・・わかっているよ・・・変わることはない」


祥子の瞳に涙があふれ出した.


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る