第34話杉浦美和の思い

杉浦美和は、焦り、悩んでいた。

「どう見ても、孝太と祥子が、お似合い」

「幼なじみで、気心が知れている?」

「それで、パリでもどこでも、寸前に逃げられる?」

「でも、そんなこと認めたくない」

「パティシエとして成功したのは私も頑張ったから」

「孝太の背中を押したのは私」


ただ、そう思っても、不安は消えない。

「ホテルから消えて、パティシエもやめたい、パン屋の修行?」

「実は、私から逃げたいのかな」

「・・・私は、しつこくて重たい女なの?」


孝太が言った「折衷案」も気にかかる。

「大使夫人たちのケーキイベントには協力する、でもパン屋はやる・・・」

「結局、パン屋になる、ケーキイベントは義理を果たすだけ・・・」

「要するに、私から逃げたい?」

「祥子と一緒に生きるの?」


美和は、涙が出て来た。

「嫌・・・そんなの・・・」

「あんな・・・庶民の・・・女に・・・」

「この私が負けるってこと?」


「悔しくて眠れないじゃない・・・馬鹿孝太・・・」

「納得出来ないって」


そして、思った。

「絶対に、孝太は私のものにする」

「負けない。幼なじみの庶民の女には」

「格の違いを見せつけてやる」


美和は。ますます気が昂るばかり、強いコニャックを飲み、ようやく眠りについた。


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