第33話孝太と祥子の赤面

孝太は、ますます慌てた。

自分の手は祥子の胸にしっかり密着、離そうとしても祥子の力が強い。


祥子は赤い顔。

「私、ドキドキしているの、わかる?」

「でも、ずっと、ずっとこうしたくて」

「孝太の手を感じたくて」


孝太は、少し笑い手の力を抜いた。

「これは・・・中学生の時に」


祥子も笑う。

「私が受験で悩んでいた時に、孝太の力をもらった」

「それで気持ちが落ち着いて、受験も何とかなった」


孝太は、祥子の顔をじっと見る。

「あの時は意味がわからなくて、すごくドキドキした」

「でも、祥子の鼓動がわかって、うれしかった」


祥子は頷く。

「それだけ?」

「今は?」


孝太の顔が、また赤くなる。

「ありがとう、何だか、落ち着いた」

「・・・それと・・・」


祥子はクスッと笑う。

「・・・それと・・・って?」


孝太は横を向く。

「立派になった」


祥子の顔が、ますます赤い。

「それは成長したの」

「重たいくらいに」


孝太は反応に困った。


祥子は孝太の手をほどいた。

そして、両手で孝太の頬を包み込んだ。

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