第28話本格的パン焼き開始と父の病院からの電話。
翌日の午前7時から、柿崎孝太の本格的なパン焼きが始まった。
杉浦美和とヴィヴィアン、田中祥子が作業に加わり、仕入先の宮崎も見に来た。
パンの種類は、コッペパン、フランスパン、イギリスパンの基本的なもの。
柿崎孝太は、さすがに作業が正確かつ丁寧、仕入先の宮崎を感心させる。
「動きが親父さんによく似ている、すぐに上手になります」
ヴィヴィアンは、焦っている。
「とてもかなわない、孝太は器用過ぎる」
杉浦美和は、結局柿崎孝太とヴィヴィアンのお手伝いで、大忙し。
田中祥子は、「昔のパン屋の匂いが戻って来た」と笑顔が絶えない。
パンが焼き上がると、全員で試食。
杉浦美和
「かなり美味しい、心配はいらない」
ヴィヴィアン
「うん、どのパンもパリのパンに負けていない」
田中祥子
「さすがね、血筋かな」
仕入先の宮崎
「かなり親父さんのパンに近い。売り物になります」
などと、おおむね好評。
しかし、柿崎孝太は首を横に振る。
「まだまだ・・・真奈にも味を見させないと」
「親父が、このパンを認めるとは思えない」
「毎日、同じ味が出せるようにしないと」
その孝太の言葉の直後だった。
孝太のスマホに父の病院から連絡が入った。
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