第26話説得を諦めない2人
パン屋に入って来た3人を見て、柿崎孝太は「え?」とだけ。
何故来たのか、さっぱりわからない。
その柿崎孝太に、杉浦美和。
「やはりね、孝太君、どうしてもケーキを焼いて欲しいの」
「そうでないと、ホテルが困るの」
「金額は言えないけれど、大損失になる」
「宿泊から会議まで、キャンセルになるから」
「官邸からも外務省からも、何とかならないかって、何度も電話」
ヴィヴィアンも続く。
「叔父の大使も困惑していたよ」
「すでにあちこちに声をかけているし、今さら他のホテルなんて無理」
田中祥子は、孝太の内心を察して、心配そうな顔だけ、言葉は出さない。
柿崎孝太は、返事に窮した。
「俺の仕事は・・・俺が決めていいのでは?」
「それが筋だと思うが」
杉浦美和は納得しない。
「自分で満足するパンが焼けるまで時間がかかるって言ったじゃない」
「ホテルの仕事を終えてからでは困るの?」
ヴィヴィアンは、また別の提案。
「だから、ホテルでの仕事を終えて、その後に大使館に来たらどう?」
「大使館でパンを焼いてもいいよ」
田中祥子は、何も言わず、膠着状態になっていると、店の駐車場に車が入って来た音。
少しして、仕入先担当者の宮崎が材料を持ち、入って来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます