第19話ヴィヴィアンが加わり、また話は混乱

スマホで真奈の入院する病院、おそらく看護師と話をする柿崎孝太の表情が、見る見る変わっていく。

「はい、ありがとうございます。意識がはっきりと?」

「わかりました、明日また伺います」


電話を終えた柿崎孝太は、安心した顔。

「真奈の意識が回復した」

「再び、検査をしたけれど、異常は確認できないとのこと」


意味不明のヴィヴィアンに、杉浦美和が「事情」を説明。


ヴィヴィアンは、驚いた顔。

「それは心配でしたね、私もお見舞いに行きたい」

「孝太君の妹さんにも、顔合わせをしておきたい」


柿崎孝太は、頭を下げた。

「ありがたいけれど、明日は二人きりで話をする」

「今後の生活もあるので」

「もう2,3日入院して、退院になるらしい」


杉浦美和が、少し不満そうな顔。

「私も行きたい、でも、ゾロゾロ押し掛けても、迷惑になるのは、わかる」


田中祥子は抵抗した。

「お隣さんだし、妹みたいなものだし」

「お見舞いはさせてよ」


柿崎孝太は、ここで迷った。

田中祥子の「お隣さん、妹みたいなもの」は事実。

しかし、杉浦美和とヴィヴィアンの不満そうな顔が気にかかる。


見かねた珈琲豆店の店主、田中保が助け船を出した。

「孝太君の判断で」

「やはり二人きりがいいかな」

「兄と妹でないと通じないこともある」


柿崎孝太は再び、頭を下げた。

「心配してくれて申し訳ない」

「とにかく、二人きりで話したいので」


その後は、真奈の見舞いについて、それ以上の話はなかった。

田中祥子が柿崎家とパン屋の話をすると、

杉浦美和

「何だ、孝太君、子供の頃から、お父さんのお手伝いしていたんだね」

ヴィヴィアン

「コッペパンねえ・・・食べてみたいかも」

田中祥子

「真奈ちゃんも手伝っていたよ、キビキビと動く感じ」

杉浦美和

「私も焼いてみたい」

「手伝っていい?」

ヴィヴィアン

「それなら私もパリ風のフランスパンを焼きたいなあ」

田中祥子

「それなら、私も焼く」

「多少は手伝ったことがあるから」


・・・結局、収拾がつかなくなり、柿崎孝太は結局、困っている。

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