第18話珈琲豆店にて

柿崎孝太と杉浦美和、田中祥子が結局一緒にパン屋の掃除をしていると、約40分後にヴィヴィアンがやって来た。

杉浦美和の言う通り、金髪グラマーの超美人。

柿崎孝太の姿を見るなり、突進、そして猛烈なハグ。

「やっとつかまえた!もう離さない」

杉浦美和、田中祥子がハラハラしていると、柿崎孝太はようやく言葉を出す。

「とにかく・・・隣の店に」

その声もハグが激しかったため、途切れ途切れ。


柿崎孝太が、杉浦美和と田中祥子、ヴィヴィアンを、それぞれ紹介。

4人で隣の珈琲豆店に入った。


珈琲豆店では、田中祥子の父にして店主の保が、柿崎孝太を見て、懐かしそうな嬉しそうな顔。

「懐かしいねえ・・・孝太君・・・噂は聞いているよ・・・すごいなあ」

そして、柿崎孝太に耳打ち。

「何か、大変なようだね」


柿崎孝太は頭を掻く。

「はい、なかなか、思うようにはなりません」

「親父のことも、妹のことも、これからの仕事も」


田中保は柿崎孝太の背中をポンと叩く。

「まあ、悩むだろうけれど、一つ一つ落ち着いてね」


そんな挨拶を終えて、柿崎孝太は女性3人が待つ広めのテーブルに着いた。

田中祥子

「珈琲豆店ですが、数人程度は珈琲を飲めるようになっているので」

杉浦美和

「趣味がいいテーブルと椅子ね、老舗の雰囲気があります」

ヴィヴィアンは日本語も堪能。

「素晴らしくお洒落なお店、珈琲豆も器具も豊富」


柿崎孝太は、「本題に入るよ」と言い、深呼吸をして話をはじめた。

「赤阪のホテルの仕事もやりたくないわけではない、むしろ、自分を指名しての話、光栄であって、やりたいとは思う」

「ヴィヴィアンからのフランス大使館での仕事も興味がある、それは否定しない」

「ただ・・・歴史のあるパン屋をやってみたいと思っていることも、何度も言った通り」

「ただ、その前に妹真奈のこと、いつどうなるかわからない親父のこと」

「それらが落ち着かないと、まともな思考が出来ない、それが偽らない本音」

「いずれにしても、少し結論は待って欲しい」


女性3人が、「まあ、仕方ない」と頷いた時だった。

柿崎孝太のスマホが鳴った。

真奈の入院する病院からの連絡のようだ。

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