第14話杉浦美和と田中祥子の対面 柿崎孝太は・・・

柿崎孝太は一歩引きながらも、杉浦美和に若い女性を紹介する。

「隣の珈琲豆専門店の娘さんで、田中祥子さん」


田中祥子は、杉浦美和に自己紹介。

「田中祥子です、孝太君とは小学校にあがる前の子供の頃から幼なじみ」

「ついでに、小学校、中学、高校まで一緒・・・」


その自己紹介が長くなりそうな気配なので、柿崎孝太は田中祥子に杉浦美和を紹介。

「赤坂クイーンホテルの支配人秘書の杉浦美和さん」


杉浦美和も自己紹介

「はい、杉浦美和と申します。孝太君と同じホテル」

「パリ時代も一緒でした、アパートは隣で」


そんな至極当然の自己紹介の中、杉浦美和と田中祥子は、お互いに相手をしっかりと観察していた。


杉浦美和

「幼なじみ・・・しかも童顔で可愛い、悔しいけどスタイルもいい」

「私より、孝太を良く知っているかも」

そう思ったら、不安も感じて来た。

「孝太が家に戻りたいのは、実はこの祥子さんと再び?」

「・・・認められない・・・そんなの」

「孝太は私の孝太だから」


田中祥子

「うわ・・・超美人、足も長い」

「超一流ホテルの支配人秘書・・・セレブだ・・・」

「しがない珈琲豆屋の娘とは格差」

「でも、パリでアパートが隣って・・・もうデキてる?」

「やだ、認めない、孝太は何が有ってもパン屋を継ぐべきなの」

「私が実家を出ないのも、孝太が戻って来るのを待っていたため」


ただ、柿崎孝太は、杉浦美和と田中祥子の対面の異様な気配には、何の関心もない。

ガラガラと店のシャッターを開け、店の中に。


「昔のままか・・・」


そのまま、店の中をほとんど見ずに、妹真奈の部屋に直行。

机の引き出しを開け、取り出した「ノート」に見入っている。

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