10.鳳仙花
「ラデクー!」
「ラデクお前大丈夫か! “メガヒール”!」
コングに殴り飛ばされ、地面に叩きつけられたラデク。想像し難い痛みなのだろう。掠れた声で叫びながら、もがき苦しんでいる。
「【ゴールデン・スピア】だ。喰らえ!」
咄嗟に、
その隙に攻めてしまいたいところだったが、
「“フラタニティ・フラッシュ”!!」
「“アイスロック”!」
そうしている間に、
ウツボカズラの群れ、そして先程のコングが一掃される。アナコンダは、
「やったね! アルスくんもカッコよかったよっ!」
「ふふっ、ありがとう。アイネも素敵だったよ」
アルスにそう言われた
「船で役立たなかった分の借りは、返せたでしょう」
「みゅー!」
「ぴの!」
何もできなかった。
魔海ウツボを倒したことによる慢心があったのだ、と反省する。
それに加え、慣れない地での戦闘。
立ち上がり、皆に頭を下げた。
「皆さん、すみませんでした……」
「もう、戦闘中は気を引き締めなきゃダメだよ! 魔海ウツボと戦った時もボーッとしてたしさ。これからどんな奴が出てくるか分かんないんだから、しっかり頼むよ!」
ラデクは眉毛を逆ハの字にして、怒声を上げた。声の調子から、結構本気で怒っているのが分かる。
「まあ今回は仕方ないさ。ほら、元気出せ
すると、視線の先に——。
「あの……後ろに……」
「ああ? オバケでもいるのか?」
居たのは、ペイントされた怪しい仮面を被り、槍を持った上半身裸の男たちが数人。
完全に囲まれてしまっていたのだ。
「ウババ!」
「ウババボヘバホア!」
何を言っているのか分からない。彼らは何者なのだろうか。
「【ウンババ民族】だ」
「ウンババ民族!?」
ウンババ民族のうちの、ガタイが良く背の高い1人が、大きくジェスチャーをする。
片腕を自分側へ引くような仕草だ。
ついて来い、ということだろうか。
「とりあえずついて行ってみよう。みんな、気をつけて!」
「そうねー」
「友莉、怖いよ……何このおじさんたち……」
「何言ってるのか、全然分からないわね……」
ラデクに従い、みんなついて行く。
先程の失態は大きかった。
ウンババ民族に導かれ、
一応
「ウババ!!」
ウンババ民族のリーダーの男は足を止め、持っていた槍で前方を指しながら、
「な……デッカい……!」
ウンババ民族が示した先にいたのは、先ほど戦ったウツボカズラの数十倍の大きさを誇る巨大な植物だった。
葉っぱだけで5メートルはある。本体である巨大で真っ赤な花の真ん中には、牙のような鋭い棘が蠢いていた。
「これを倒せってことですか……」
「みんな、あれは【
慌てて獅子の盾を構え、距離を取ろうととしたその時——。
鳳仙花の真っ赤な花に、自然あふれるジャングルには似つかわしくないような禍々しい赤い光が宿っていく。
花は、
「ミオン様! 避けろ! 猛毒のレーザーが来るぞ!」
ハッとした時には既に、
————
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