33.チョコの傀儡
「あれ? 僕ちゃん、何してたんだビー!?」
ただし、背の高さは15センチメートルほど。
「面白えだろ。コイツは、【チビサクビー】だ」
チビサクビーはベンチの上をちょこちょこと歩き回りながら周りを見回すと、軋むような高い声を上げる。
「そうだ! 僕ちゃん、ソアラにリベンジするんだったビー! そこのデカいお前!」
「ソアラを知らないビー!?」
「な……? オレがそのソアラだが……!」
「嘘をつくなビー! ソアラはもっとケモノみたいな姿だったビー!」
腕組みをして様子を見ていた
「ビービーうるせえな、チビ」
そう言ってヒョイとチビサクビーを片手で掴み上げた。
「うわあー! 何するビー! 助けてくれビー!!」
「サ、サクビーくん!」
「あぎゃビー!! グフッ……」
バリバリと噛み砕かれ、
「サ……サクビー……!」
「この
「どういう……?」
「サーシャの奴は、“チョコレートを操り人形に変える力”を持ってたってことだ。つまり、ボクらが戦った鎧野郎たちは……サーシャの
言いながら、残り10枚のチョコレートをもう一度ベンチの上に広げる。
「ゴマくん、まさか……」
「チョコレートよ! 我が
再び、15センチメートル大のチビサクビーが復活する。
「はあ、死ぬかと思ったビー! さあ、早くソアラを連れてくるビー!」
復活するや否やビービー捲し立てるチビサクビーを、
「テメエ、ちったあ大人しくしやがれ」
途端、チビサクビーは喚くのをやめ、その場に座り込む。本当に、
「お前は非常食として役立ててやるよ、チビサクビー」
「誰がチビだビー! ……って、何でこんなに小っちゃくなってるビー!?」
今頃気づくチビサクビー。ピョンピョンと飛び跳ねながらクリクリとした目を回す。
「ってか、チビサクビーってのも呼びにくいな。略すか。チクb」
「それ以上言うたらあかん!!」
♢
ひとまずモヤマの宿屋へ行き、一行はしばしゆっくりしてから出発することとなった。
カバンの中で暴れるチビサクビーを隠しつつ、大部屋に入った一行。
荷物を下ろしてから、
小さくなった上に
「ぷはー、やっと出られたビー! 狭い所は苦手だビー!」
「チビサクビーは、操り人形として完全に思いのままに動かせるって訳でもなさそうだな。気ぃ抜くと好き勝手動き回りやがるから」
「ん? どういうことだビー?」
チビサクビーも、まん丸い目をパチパチとさせている。
やはり完全に
「チビサクビー、お前は元々、サーシャに作られた存在だったんだよ。お前と一緒にいたヴィットも、そうだ」
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