32.宿敵の復活
マイルスの家を後にした
「よお。ミランダから聞いたぜ。ボクが提案した作戦、うまくいったみてえだな」
3人とも人間の姿。
まずは船で“チャイ大陸”へと向かうこと。
“シジョー神殿”で、“転職”が可能であること。
「ひとまずシジョー神殿に行ってから、チャイ大陸に向かえばいいんじゃない?」
「そうしましょー」
「僕はそれでいいよ」
「俺も賛成!」
「ボクもそれでいいと思うぜ」
「オレもー!」
「ウチも異議なしや!」
ラデクの提案に、一同は声を揃える。
今後の方針は決まった。
♢
「おい、
少し息抜きするためモヤマを散策することになったのだが、人気の少ない場所に来た時、
「ゴマくん、どうしました?」
「ちょっと、そこの露店でチョコレート買ってきてくれねえか?」
「チョコレート、ですか。猫はチョコレートは確か苦手なのでは……?」
「人間の姿だと食えるんだぜ。でも別にボクが食うわけじゃねえ。とにかく目いっぱいのチョコを買ってきてくれ」
「誰が食べるのか知りませんが、あんまり食べると、糖尿病になりますよ」
「いいから! 早く買わねえと売り切れちまうだろうが!」
回転寿司があるくらいだからチョコレートもあるだろうと思いつつ、
簡素な造りの、祭り屋台のような露店。白Tシャツを着て麦わら帽子をかぶった中年の店主の前に、カラフルな飴玉が入ったプラスチックの箱が並べられている。近くはビスケットなどの入った紙箱も積まれている。
チョコレート——あった。現実世界にも存在するメーカーの板チョコが、ずらっと並べられている。
「板チョコでいいですかね。すみません、2枚くださ……」
「足りねえ。20枚だ」
「じ、じゅうまい……」
「まいどあり! 2,000ゴールドいただきまぁす」
こんなに誰が食べるのだろうか。みんなで食べるにしても、さすがに多すぎる——。
首を傾げつつ、待っているみんなの所へと戻った。
「ゴマあんたなあ、みんなで共有のお金やで?」
「相棒! そんなに買ってどーすんだ! 分量を考えろよな!」
文句を言われながら、
「ボクが食うわけじゃねえ。まあ見てろって」
板チョコの包装紙を順番に剥いていく
10枚の板チョコを並べ終えた
「チョコレートよ! 我が
チョコレートが自発的に動き出し、合体を始める。瞬く間に丸々とした形になると、眩い紫色の光を放った。
「な……何ですかこれは……!」
光が消えると、チョコレートは完全に姿を変えていた。
鉛色の丸いボディ。クリクリとした2つの目。そして自身の身体より大きな盾。
「あー! お前は!!」
「あれ? 僕ちゃん、何してたんだビー!?」
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