27.“生命の巨塔”復活作戦
現状、“生命の巨塔”を復活させる手段は分からない。しかし、悠長に構えている暇はない。
一か八か、双子山の山頂から噴き出す“生命の水”を持ち帰り、破壊された“生命の巨塔”にぶっかけるという、
「でも、大量の“生命の水”が必要ですよね。どうやって“生命の巨塔”にまで持っていけばいいのでしょう……」
呟いた時、突然
「クマーンたちに任せてくま」
「ガウー!」
光の中から、クマーンとロウが出現した。後からミランダも姿を現す。
「わわ……! びっくりしました……」
「クマーンたちが山の上にワープゲートを作って、“生命の巨塔”に繋ぐくま。そこから“生命の水”を出せばいいくま」
「ガウルル!」
楽しげに飛び跳ねながら提案するクマーンを見て、
クマーンとロウが、勝手にミランダの魔力を奪ってワープゲートを作り出していたからだ。
「……いいんですか? ミランダさん」
「今度はちゃんと許可したから、大丈夫よ!」
8の字を描いてウインクするミランダを見て安心した
ひとまず、
「じゃあな
「ありがとうございます、ゴマくん。必ず成功させます!」
「じゃあ早速行くくまー。クマーンはアタゴ山の上へ行くから、、ロウはヒエイ山へ向かうくま。そこでワープゲートを開いて、“生命の水”をワープさせるくま」
「ガウ!」
いよいよ作戦開始。
クマーンとロウは、飛び跳ねながらワープゲートに消えていった。
「さあ、
「はい! 皆さん、準備はよろしいですか?」
ミランダは、“生命の巨塔”行きのワープゲートを、地面に作り出す。
「おう! 今度こそ、完全に直すんだ、“生命の巨塔”を!」
「きっとうまくやれるわー。今までどんなピンチも乗り越えてきたんだものー」
「
ラデク、サラー、
「ミオン様……! “生命の巨塔”のことも、古文書に書いてあったのを思い出したよ。着いたら話すね!」
「ほんとですか! じゃあ詳しく教えてください……!」
アルス王子が言うであろうヒントに期待し、一行はワープゲートで“生命の巨塔”へと向かった。
♢
「これはひどいです……。あの自然いっぱいの森が……」
“生命の巨塔”の近くにある、ダイゴの森。生命力が溢れていた森の木々の葉は枯れ、幹が腐り落ちているものもある。
そして無惨な姿の“生命の巨塔”。かつて50メートルの高さを誇っていたその塔も、破壊されたことで何と全体が萎えるように縮こまってしまい、今は高さ50センチメートル、直径は20センチメートルにも満たない。
塔の左右には金色の輝きを放つ“ゴールデン・オーブ”があるのだが、それらも光沢を失ったただの小さな2つの鉛の玉となり、虚しく地面に転がっている。
「もう少ししたら、クマーンくんたちがワープゲートを繋げてくれるはずよ。そこから、“生命の水”を出してくれるはず」
ミランダが喋ってる間に、塔の真上10メートルほどの所に虹色の光が2つ出現。
そこから突然、“生命の水”が滝のようにドザーッと流れ落ち始めた。
“生命の”鉄砲水が、
「うわわわ、やりすぎですー!」
「ちょっと! このままじゃ大洪水だよー!」
あっという間にずぶ濡れになった
クマーンたちもやり過ぎだと気づいたのであろう、すぐにワープゲートから出ていた“生命の水”の水勢は緩やかになっていく。
「……あ、見てください。塔が!」
ずぶ濡れになった“生命の巨塔”が、少しずつムクムクと大きくなっている。
「やった! このままどんどん大きくなれー!」
「これでー、解決ねー」
ラデクとサラーは、歓喜の声を上げた。
だが塔は、1.5メートルほどの大きさになったところで、徐々に巨大化の勢いが弱まる。ラデクたちの表情も曇っていく。
「あれ……止まっちゃいました」
駆け寄って塔をよく見ると、今度は段々と小さく萎み始めていることに気付く。
どうして良いか分からなくなった
「やっぱりダメだったのかな……」
「そんなー、解決したと思ったのにー」
「もっと“生命の水”をかけた方がいいんじゃねえか?」
みんなして肩を落としていると、アルス王子が駆け寄ってくる。
彼は目を瞑りながら、塔の外壁を両手でそっと触れた。その体勢のまま、
「古文書に書いてあったんだ。“生命の巨塔”を復活させるには、しごけばいい」
「しごく!?」
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