19.急げ!!
万歳、万歳と歓声を上げる人々の合間をぬって、
「そうです、こうしてはいられません。“生命の水”を持ち帰り、ソアラくんを助けなければ……」
「そうだな!」
夜の闇の中、降り注ぐ“生命の雨”が心地よく肌を潤す。
「ロウ!」
「ガウー!」
“生命の水”が周囲に激しく噴射する山頂の岩の近くで、
「みんな、水筒にたっぷり水を汲もう!」
“生命の水”は、突起状の岩の上部から激しく噴き上がっているのだが、溢れた水が岩肌に滝の如く流れ落ちているので、汲むのは簡単である。
ただ、巨大スプレーのように岩の周りにも噴射されているので、当然ながら全身びしょ濡れだ。それがとても心地良くもあるのだが。
「これで、この先もみんな元気いっぱいですね!」
「“生命の水”が優秀すぎて、俺の出番がなくなったりしてな! ガハハ!」
「ソアラ、待ってろ。たっぷりコイツを浴びせてやるからな……!」
「ゴマくん、汲めましたか? すぐにミランダさんを呼んで、街に帰りましょう」
「ああ」
光を、虹色のリングが包む。そこからミランダが姿を現した。
「きゃあっ! 冷たっ! こんな所に呼ぶのなら、前もって言ってよ!」
「す……すみません。でもどうやって前もって言えばいいのでしょう……」
「んなこと言ってる場合か
「街ってどこの街よ!?」
「わ……私も、街の名前が出てきません!」
「じゃあどうしようもないわよ! あたしもこの世界のことはよく知らないんだからね!」
「あわわ……急いでるのに……」
その時。
「ウキョーーッ! やっぱり酒よりも“生命の水”だぜー! 美味えー!」
電球がピカーッと、
「ウキョーです! ウキョーの街です!」
「分かったわ! それっ!」
大きな水溜まりと化した山頂の地面に、7色に輝く円形のワープゾーンが開かれた。上に、小さな虹が架かる。
「急ぐぜ!」
「はい! ……皆さん、水は汲めましたか? 一緒に帰りましょう!」
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