9.衝撃告白
「みんな、大丈夫か? 俺が回復してやるから、そこに並べ!」
サーシャが谷底に消えたのを確かめた
「
「ああ。あとは今俺たちがいるバナナとさくらんぼの形した変な船と、毒ガスを吐いてきたおケツさえぶっ壊せば、完全勝利だな!」
「いや……あれは桃だと思うんですけど……」
「私は平気、自分で癒せるから。魔力を無駄にしたくないし、リュカがみんなの分を癒してくれるのは助かるわね」
「“スーパー・ヒール”!」
光に包まれた
傷や疲れがたちどころに回復し、全員すっかり元気を取り戻した。
「ありがとうございます。思ったんですが、癒しの魔法は……死んだ人を生き返らせたりもできるんですか? ほら、国民的有名RPGでは、魔法1つで死んだ仲間を蘇らせたりするじゃないですか」
その時の表情は、普段の酔っぱらい親父の彼らしからぬ、キリッとしたものだった。
「いくら俺でも、蘇生は出来ない。出来たとしても、それは生命に対する冒涜だ」
「それは私も一緒だし同意見。死んだらそれまでよ」
心のどこかで期待していたのだ、
その時——。
「あれ……? 僕、何してたんだ……?」
アルス王子が、目覚めた——!
が、相変わらず、ピンク色のバリアに包まれたままである。
「アルスさん!」
「アルスくん!? アルスくーん!!」
「アルス様に、触らないでくださいまし!!」
「きゃあああっ」
暗闇に響き渡るサーシャの声とともに、稲妻のような閃光が迸る!
「悠木さんっ!」
間一髪で閃光を避けた
「それで勝ったと思っているだなんて、まあ何ともご立派な頭脳をお持ちですこと」
サーシャは桃色のオーラに包まれながら、暗闇の谷間から飛来。
やはり、そう簡単に倒せる相手ではなかった——。
彼女は軽やかに、“ジャイアント・ディック”の甲板に舞い降りた。
その時、アルス王子が漏らした声が、全員の耳に入る。
「うわあ! 綺麗な……女の人!」
一斉に振り向くピア・チェーレの面々。
サーシャの姿をまじまじと見つめるアルス王子の目は——完全に、ハート形になってしまっていた。
「アルスさん、しっかりしてください!」
「おいおいアルス、あれは人じゃねえ! 魔族だ!」
が、彼はさらに信じられぬ一言を放つ。
「えへ、サーシャちゃん……。好き……かも」
「ええー!?」と声をあげ尻餅をつく
「え……アルスくん……? アルスくん……が……? サーシャちゃんを……好き……?」
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