33.蒼天ソアラの実力


「Ready……Fight!!」


 ゴングが鳴り響き、第1戦Bチームの戦いが始まった。

 4つのフィールドで、再び激戦が繰り広げられる。

 蒼天ソアラは素早い動きで、ローブを被った魔法使い“ケイイチ”を撹乱しつつ、確実にパンチやキックを当てていく。奮戦する蒼天に届くよう、優志たちも大声で声援を送った。


「ソアラくん、応援してますよー!」

「いいぞ、ソアラ!」


 蒼天が一瞬見せた隙をつき、魔法弾を放つケイイチ。避けきれず、肩の部分にカスッた。顔を歪める蒼天。

 攻撃が当たり気が抜けたのか、今度はケイイチが隙を見せる。それを逃さなかった蒼天は一気に距離を詰め、ケイイチの腹部にエルボーをかました。


「グボッ……! おのれ……」


 よろめくケイイチ。優志たちのいる場所から「今だ! 決めろ!」という猫月の声が、蒼天の耳に届く。小さく頷いた蒼天は右拳を構える。

 蒼天の右腕全体に水色のエネルギーが集まり、輝き出した。


「喰らえ……! “100万馬力・猫パンチ”!!」

「ぐおおあ!?」


 100万馬力・猫パンチをまともに喰らったケイイチは、なすすべなく白線の外まで吹き飛ばされた。


「勝者、蒼天ソアラ!」


 審判の声が響くと、蒼天は満面の笑みで両手を挙げる。


「やったぜ! まずは1勝だー!!」


 ちなみに蒼天の持ち技である“〜馬力猫パンチ”のはものの例えであって、実際に100万や200万馬力を出している訳ではない。なので、直撃しても死ぬことはないのである。


 最速で勝負が決まった蒼天に向け、観客席から拍手が沸いた。


「やりましたね、ソアラくん!」

「ソアラくんーかっこいいー!」

「転身せんでもあんだけ強いとか、さすがやな!」


 優志たちも、勝利を祝う声援を送る。猫月だけは拍手をせずに、「ヘッ……アイツなら当然だろう」と言っていたが。

 一方雪白は、奇声といっても相違ない声でサミュエルを応援していた。あまりの大声に、悠木は耳を塞いでいる。


「ぎゃーー!! 文矢くーん!! 最強ーー!!」

「だ、だから友莉、文矢くんじゃないってば!」


 その、文矢似のサミュエルはというと——。


「ぐあ!?」

「どうした? 俺に一撃でも加えてみろ」


 圧倒的強さで、相手を捩じ伏せていた。

 サミュエルの相手である“ガルゴ”は、地元でそこそこ名を上げている武闘家である。しかも、試合前に【レッドドラゴンエキス】を飲んでパワーアップしている。“レッドドラゴンエキス”とは、一時的に攻撃力と素早さをアップさせるアイテムである。

 それにも拘らずガルゴは、ただの一撃もサミュエルに攻撃を当てることができないでいた。


「フン、遊びは終わりだな……。行くぞ!」

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