7.いざ、夢の世界へ!


 人間の姿になったゴマ、スピカ、ソアラ。

 スピカは、銀髪のロングヘアを後ろで2つに括り、白いワンピースを着た色白美少女の姿。

 ソアラは、無造作な茶色の髪、太い眉に鋭い眼、青色基調の道着を身につけた筋肉質な男子の姿。

 そしてゴマは、艶やかな黒髪に前髪だけが銀色に染まった男前な顔。白いTシャツの上にピシッとした黒いブラウスを羽織り、下はジーンズを穿いた長身のイケメン姿であった。

 そしてゴマのその姿は——。


「うわ! ウチが描いた立ち絵そっくりやん!」

「ほ……ほんとですね!」


 ゴマの配信を一度視聴した優志も、スピカと同じ感想を抱いた。


「うお、ほんとじゃねえか! イイな、気に入った。ナイスだミランダ! ……ボクはお喋りが大好きな、人間になった猫の勇者! GOMA'sゴマーズ所属1期生兼、GOMA's社長、猫月ねこつきごまだ。マグロが食いたいぜ! なんてな! にゃはは!!」

「ええやん似合ってるで〜ゴマ〜! ソアラくんもええやん、マッチョでイケイケやん!」

「へへっ! スピカもめちゃ可愛いじゃねぇーか! 猫月ごまか、いい名前だな! ……じゃあ、オレたちも名前つけようぜ!」

 

 スピカとソアラは1分ほど考え込み、それぞれの名前を決めた。


「ウチは、暁月あかつきスピカ! どや?」

「いい名前じゃねぇか! オレは……蒼天あおぞらソアラだ!」


 ゴマ——猫月ごまは、得意げな顔をしてスピカ——暁月スピカとソアラ——蒼天ソアラを見下ろす。


「ヘッ! みんなボクの真似しやがって。じゃあお前らもライバー事務所GOMA'sゴマーズに入って、1期生としてライバーデビューだな! にゃはは!」

「誰もそんなことするって言うてへんから」

「そーだぜ! 今は遊んでる場合じゃねえだろ、相棒!」

「いやあ、皆さんが人間の姿になって、より仲良くなれそうです。……じゃあ私は今度、猫の姿になってみたいですね」


 ミランダはとぼける優志を無視して、「さあ、夢の世界に繋げたから行くわよ!」と言い、4人をワープゲートに入るよう促した。


「さあ、行きましょう。夢の世界へ!」


 ワープゲートに消えて行く優志、猫月、暁月、蒼天。

 それを物陰からこっそり見ている、2匹の猫がいた——。


「いいなあ、僕も人間になってみたい」

「じゃあミランダに頼めばいいじゃない、ポコ」


 ポコと、ヴィーナスである。

 ポコは、ゴマと一緒に稲村家のガレージで飼われていた黒猫である。最近3匹の子猫が生まれて父親になったが、今は子育てをつがいのユキという名の猫に任せ、星猫戦隊コスモレンジャーとして活動している。

 ヴィーナスは、コスモレンジャーの回復サポート役。とてもツンデレな性格の雌猫である。


「でもイメージできないんだよなぁ。人間になるなら、ゴマみたいにイケメンがいいなー」

「私はあんなのはごめんだわ。それより、私たちもゴマたちの後を追うわよ。ポコ、付き合いなさい」

「え? 急に何言ってんの……?」

「ミランダを呼ぶわよ」


 ポコとヴィーナスが話している後ろでは——青いモフモフとオレンジ色のモフモフが飛び跳ねていた。

 そして2つのモフモフから突然、虹色の光が放たれる——!


「え、何? うわああ!」

「な、何よこの光! まだミランダを呼んでないのに!」


 虹色の光は、ポコとヴィーナスを包み込む。

 そして光が消えると、2匹はその場から姿を消していた。

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