48.流星の巨神・百獣の王


「来てください! 守護神……夢幻獅子むげんじし!」


 飛田とびたが叫んだ直後——。


 桃色の空から、唐獅子のような神獣の姿が出現。瞬く間にエメラルドグリーンの光に包まれると、ライオンをモチーフにしたロボットへと変形、荒野へと着地した。

 ロボットと化した“夢幻獅子”は高速で大地を駆けながら、両目の部分からエメラルドグリーンに輝くビームを邪竜パン=デ=ミールの頭部に向け発射。

 ビームが炸裂、立ち上がろうとした邪竜パン=デ=ミールの目が潰され、邪竜パン=デ=ミールは再び土煙とともに荒野に倒れ込んだ。


「夢幻獅子! 合体です!」


 飛田の叫びに呼応するように、夢幻獅子は突如変形を始め、胴体が2つに分裂。

 2つのパーツは、スーパースター・マジンガの肩の部分に飛来し、合体。残された夢幻獅子の頭部は、スーパースター・マジンガの胸部へと合体を果たした。

 何も知らないソールたちは、口をポカンと開けながら飛田の方を見ている。


「【スターマジンガ・キングオブビースト】!」


 飛田は無意識に、パワーアップしたスーパー・スターマジンガの名を叫んでいた。

 飛田の脳内に、スターマジンガ・キングオブビーストの操作法が次々と浮かんでくる。


「ソールさん、席、代わってもらえませんか」

「あ……ああ」


 星猫戦隊コスモレンジャーのリーダーであるソールでさえ、何が起きているのか分かってない様子だ。ただただ、飛田の言葉に従うしか出来ないでいた。

 ゴマも、他のメンバーも、思わぬ展開に言葉が出ないでいる。


 飛田はコクピットの真ん中の操縦席に座り、シートベルトを締める。そして、初めて触れるとは思えぬ手つきで、目の前にある無数のボタンとレバーの操作を始めた。


「行きますよ!」


 スターマジンガ・キングオブビーストは地響きを上げながら、態勢を立て直そうとする邪竜パン=デ=ミールの元へズシリ、ズシリと歩みを進めていく。


「おのれ、邪魔はさせぬ……」


 邪竜パン=デ=ミールはそう口にすると、大きな翼をはためかせ、飛び立った。だがスターマジンガ・キングオブビーストは、巻き起こる突風をもものともしない、


 飛田はレバーを操作し、飛行する邪竜パン=デ=ミールの腹部に照準を定めた。


「【プラネットキャノン・百獣の王キングオブビースト】!」


 技名を叫びながら操作盤のボタンを押すと、スターマジンガ・キングオブビーストの胸部にある夢幻獅子の口から、7色に輝く極太のレーザーが放たれた。

 見事、プラネットキャノン・百獣の王キングオブビーストは邪竜パン=デ=ミールの腹部に命中。巻き起こる大爆発。地響きが遠くこだますると、苦しげな声を上げて邪竜パン=デ=ミールは再び荒野へと墜落した。


「ま……優志まさしくん! 言っておくが、殺さないようにな! 正気を取り戻させるのが目的だ! だから動きを止めるだけにしておいてくれ……!」

「はい、分かってます! 後はもう一度“トランキライザー・ビーム”を……あっ!」


 気付いた時には、邪竜パン=デ=ミールが居た場所に、大きな穴だけが空いていた。

 邪竜パン=デ=ミールは穴を掘り、再び地中深くへと姿を眩ませたのである——。

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