46.守護機神、発進!


 邪竜パン=デ=ミールが巨大な羽をはためかせると、凄まじい突風が巻き起こり、縦穴から吹き上げてきた。


「みんな、しっかりゴーグルとマスクをつけるんだ!!」


 邪竜パン=デ=ミールは羽ばたきながらその巨体を宙に浮かばせると、真っ直ぐ上方向に飛び立ち、洞窟の天井を突き破った。

 開いた穴から、光が射し込む。


「よし、今こそ【守護機神しゅごきしん】を呼ぶぞ! 【守護神アポロ】!」


 ソールが叫ぶと、突如地面が揺れて洞窟の天井が吹き飛び、ソールたちのいる場所からもピンク色の空が見えるようになった。

 その空から、彗星のように何かが飛んでくる。

 白色に輝くそれは——アルファベットのAのような形をした戦闘機へと変形しながら飛来し、ソールたちの近くの地面へと降り立った。


 ソールに続き、ムーン、マーズ、マーキュリー、ヴィーナス、そしてゴマ、ソアラも剣や杖を天に掲げながら叫ぶ。


「【守護神アルテミス】!」

「【守護神アーレス】!」

「【守護神ヘルメス】!」

「【守護神アフロディーテ】!」

「【守護神アストライオス】!」

「【守護神ヘーラクレース】!」


 すると、ピンク色の空からまたしても6色——紫、赤、青、オレンジ、黒、水色の光が流星の如く現れ、それぞれ形の違った戦闘機——“守護機神”へと姿を変えた。

 守護機神が全て地上に降り立つと、それぞれハッチが開く。


「守護神よ、邪悪なる意志より我々を守り給え!」


 ソールの言葉に守護機神たちが反応、全ての守護機神から放たれたカラフルな光が、星猫戦隊コスモレンジャー全員を包み込んだ。

 飛田とびたも例外ではなく、虹色の光に包み込まれる。心なしか、ふわりと体が軽くなった気がした。


「よし! 守護神の力で新型ウイルスを防げるようになったぞ。さあ、みんなそれぞれの守護機神に乗り込むんだ!」


 ソールの号令で、コスモレンジャーはそれぞれの守護機神へと乗り込んでいく。


優志まさしはボクの守護機神に乗れ! もうマスクとゴーグルは外して大丈夫だぞ!」

「分かりました!」


 息を切らしながらマスクとゴーグルを外し、ゴマの守護機神“アストライオス”——オレンジ色のV字形ウイングを持った戦闘機——に搭乗した。

 操縦席にはレバー状のハンドルの他、レーザー攻撃用のボタン、トランシーバーなどがある。操縦席の後ろにもう1つある座席に乗り込むと、ベルトを締めた。


「行くぞ、優志!」


 ゴマがレバーをグッと引くと、守護機神アストライオスは垂直に飛び上がった。

 地面が高速で離れていく。

 前方には、他の守護機神が連なるように飛び、その先には空を飛ぶ邪竜パン=デ=ミールの巨体。


『ターゲット、ロック・オン!』

「O・Kだ!」


 ソールからの通信に反応し、ゴマがボタンを幾つか押すと、守護機神アストライオスのウイングから砲台が出現、邪竜パン=デ=ミールに向けられた。


『今だ、発射ファイア!!』

発射ファイアー!!」


 それぞれの守護機神から、白、紫、赤、青、黄色、灰色、水色のレーザーが放たれるのが見えた。それらは邪竜パン=デ=ミールの巨体にヒットする。

 雷鳴のような光が点滅し、白煙とともにスパーク。しかし邪竜パン=デ=ミールは攻撃をものともせず高度を上げると、大きく咆哮を上げた。


「うわああー!! 耳が壊れそうです……!」

「チィッ! 何てデケえ声出しやがるんだ!」


 一瞬、聴力を失ったように何も聞こえなくなり、すぐに激しい耳鳴りが襲った。凄まじい咆哮による空気の振動で、機体も大きく揺さぶられる。

 飛行機が若干苦手な飛田は、思わず頭を抱えた。

 その時、ソールから通信が入る。


『みんな、七神しちしん合体だ! 【スーパースター・マジンガ】になるんだ!』

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