42.飛田、レベルアップ

 

 飛田とびたが繰り出した会心の一撃は、メタル・ゴーレムソルジャーを瞬く間に粉砕。

 飛田は自分でも、何が起きたのかが分かっていない。


優志まさし、お前もしかしてすげえ奴……?」


 ゴマ、ソアラ、そしてソールたちが揃いも揃って目を丸くする。


「あっ! もう1匹来ましたよ!」


 そうこうしている間に。何と、メタルゴーレム・ソルジャーがもう1匹現れ、飛田たちの真横を高速で駆け抜けようとしていた。

 今度はソアラが右前脚に力を溜め、2匹目のメタルゴーレム・ソルジャーに狙いを定める。


「次はオレがやる! “100万馬力・猫パーンチ”ッッ!!」


 空色そらいろに輝くソアラの拳が、メタルゴーレム・ソルジャーの腹部を捉えた。

 バリンと、金属の破砕する音が響く。

 何と一撃で、メタルゴーレム・ソルジャーは粉々に砕け散ったのだった。


「ソアラくんも、凄いですね」

「オレの“100万馬力猫パンチ”を防げた奴は、未だに誰もいねーんだ! ハッハッハッハ!」

「うー……。クソ、ボクだって一撃で潰せらぁ! もっと出てこいメタル野郎!」


 悔しげに唸るゴマを他所に、飛田は自身の身体に起きた変化に気付き、観察していた。

 飛田の全身が、オレンジ色に輝きを放ち始めたのだ。


「これは! 新しい魔法が使えるようになったようです。……【バースト】!」


 かざした剣から、炎のような光線が放たれた。

 光線が、洞窟の壁にぶつかる。

 すると、起こったのは凄まじい大爆発。響き渡る轟音が、洞窟内の空気を震わせた。


「ニャアッ!? 優志、加減しろ! ビビるじゃねえか!」

「すみません、ゴマくん。……あ。今度は、以前使っていた“ドルチェ”がパワーアップしたようです。……行きますよ、【サンデー】!」


 今度は飛田の全身が白色に輝きを放ち始めていた。

 再び剣をかざすと、直径1メートルほどもの眩い光の玉が、洞窟の壁に向けて放たれた。光の玉は炸裂し、瞬間的に昼間のような光が洞窟内に広がる。

 その眩しさに、星猫戦隊たちは前脚で目を覆った。


 メタルゴーレム・ソルジャーを倒すことで、飛田の戦闘能力は大幅にレベルアップしたようだ。

 そして、それはソアラも同じだった——。


「うおおおおッ! オレも力が漲ってきたぜー! もう誰にも負ける気はしねえ! 【200万馬力・猫パァーンチ】!」


 ソアラの“馬力猫パンチ”が洞窟の壁にヒット。瞬時に壁が抉り取られ、土煙と共に大きな穴が空いた。


「君たち……その辺にしておいてくれ……。洞窟が崩れたら大変だからな……」

「あ、すみません、ソールさん」

「ああー、悪りい悪りい! アッハッハッハ!」


 メンバーも増え、星猫戦隊コスモレンジャーをまとめるのが大変そうなソールだった。



 さらに洞窟の奥へと足を進めていた時——。

 

 突然地面が揺れ始め、洞窟の天井から小石がパラパラと落ちてきた。


「な、何ですか……? 地震!?」

「見ろ! 天井が崩れる!」


 揺れは激しさを増し、洞窟の天井が崩落を始めた。

 このままでは生き埋めになってしまう——。


「退却だ! 急ぐんだ!」


 星猫戦隊コスモレンジャーは全員、来た道を大急ぎで引き返した。

 洞窟の前方の天井は完全に崩れ落ち、外の光が射し込んでいる。そして崩れ落ちた天井の上方から、聞き覚えのある声が響いてきた。


「クフフフ……やはり来ると思っていた」

「邪竜パン=デ=ミールの所へは、行かせないビー!」

「オホホホ……勇者ミオン。見つけましたわよ。ここでひねり潰して差し上げますわ」

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