41.メタゴレ狩り


 星猫戦隊コスモレンジャーは、闇に溶ける洞窟の奥へと足を進めていた。


 それにしても、マスクを着けたままだと息苦しいし戦闘に集中できない。何とかならないかと思案していると——。


「……ん?」


 何かが飛田とびたの横を高速で走り抜けた。


(何でしょう、今のは?)


 走り抜けた何者かの方を見てみたが、既に姿は無かった。


(気のせい、でしょうか……)


 足を進めようとした、その時。


「うわ! またです!」


 先程走り抜けた何者かがまた戻ってきて、飛田の横を走り抜け、今度は飛田たちの進行方向へと去って行く。

 

「あれは……【メタルゴーレム・ソルジャー】だ」


 ソールが洞窟の奥を見据えながら、その正体をみんなに伝えた。


「メタルゴーレム・ソルジャー……ですか」

「ああ。メタルゴーレム・ソルジャーを倒した者は、不思議な魔力により、莫大な戦闘経験を積んだのと同じ効果を与えられ、いっぺんに強くなることができる。そのため乱獲されて、今はほとんど見かけなくなってしまった」

「でもよぉ、悪さをするモンスターには違いねえんだろ!? だったら次見つけたら潰しちまおうぜ!?」


 ソアラが前脚同士をパンと当てて鳴らしながら、ソールに尋ねた。


「だが、簡単には倒せないんだ。すぐに逃げてしまう上、攻撃を当てても通じないことが多い。ヘタをすると、返り討ちに遭う」

 

 話しているうちに、再び“メタルゴーレム・ソルジャー”が、真っ暗な洞窟の奥から走ってきた。

 目や口などが無く、全身が鋼でコーティングされた人型のモンスターである。体の大きさは、今の飛田と同程度。懐中電灯の光を全身にギラリと反射させながら、飛田たちの方へと向かってくる。


「チャンスだ! おらぁっ!」

「ボクが潰すぜ。【ギガ・ダークブラスト】!」


 ソアラとゴマが、メタルゴーレム・ソルジャーの行手を阻むように立ち塞がると、目にも留まらぬ動きでメタルゴーレム・ソルジャーに攻撃を仕掛けた。

 しかし、メタルゴーレム・ソルジャーには傷一つつかない。


「ボクの攻撃でもダメなのかよ! ぐぬうう……」


 ゴマは悔しげに、唸り声を上げる。

 だがメタルゴーレム・ソルジャーは、今の攻撃で瞬間的に動きを止める。

 チャンスだ——!

 そう判断した飛田は、素早く“ミニゴールデンソード”を抜き、メタルゴーレム・ソルジャーに思い切って一撃を加えた。


(多分効かないでしょうね……。ですがダメ元でも、やってみなきゃわかりません。私の人生の教訓です!)


 すると何と。

 メタルゴーレム・ソルジャーは真っ二つに割れ、粉々に砕け散ってしまった。


「な、優志まさし!? マジかよ!」

「うお! やるじゃねーか! 優志!」


 ゴマとソアラの、驚きの声が重なる。


 会心の、一撃——。


 偶々たまたまだが、飛田の攻撃がメタルゴーレム・ソルジャーの弱点にクリティカルヒットしたようである。

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