40.星猫戦隊、出撃!


「【太陽神の力を受けし聖騎士、ソール】!」

「【輝ける望月もちづきの大魔導、ムーン】!」

「【たぎる熱情のソードマスター、マーズ】!」

「【命凍れる極寒ごっかんの上忍、マーキュリー】!」

「【美しき女神の祝福を受けしヒーラー、ヴィーナス】!」

「【神の祝福を受けし暁闇ぎょうあんの勇者、ゴマ】!」

「【不撓不屈ふとうふくつの熱血武闘家、ソアラ!】」


 7匹の猫たちは、光に包まれ“転身”する。

 周囲には、7匹それぞれの役職に適った装備——剣や盾、鎧、杖、忍び装束、ローブ、道着などが現れ、装着されていった。着けていたマスクは消滅。どの猫も素顔は凛々しかった。

 まさしく、猫の戦隊ヒーロー——。

 飛田とびたはポカンと口を開けながら、その様子を見ていた。


「みんな行くぞ!」


 ソールの号令と共に、星猫戦隊コスモレンジャーは、3体のモンスターに突撃する。


「グワォォォン……!」


 ニャンバライオンは口を大きく開け、激しく燃える炎を吐き出してきた。

 騎士猫ソールはすかさず大きな盾を構え、星猫戦隊全員を火炎放射から守った。


「マーキュリー、行け!」

「う……うんっ! す……【水遁すいとんの術】!」


 マーズの指令に応えた忍者猫マーキュリーが、印を結ぶ。すると空中から大量の水が出現。水は、吐き出された炎を掻き消すと、そのままニャンバライオンを飲み込み、押し流した。


 ニャンバラットが牙を剥き出し、飛びかかって来る。

 そこに暁闇の猫勇者ゴマが立ち塞がり、紫色の光を浴びた剣でニャンバラットの噛みつき攻撃を防御。

 ゴマは、一瞬目を瞑る。


「コイツの属性は……“かね”だ。“金”属性には火が効く。マーズさん、頼んだぜ!」


 何らかの能力で、敵のステータスを分析したのだろうか。


「よしきた。喰らえ! 炎燕流フレイムトルネード!」


 ソードマスター猫、マーズの剣が炎に包まれ、振りかざされた剣から紅蓮の竜巻が放たれる。避ける暇もなく、ニャンバラットは火だるまとなった。

 そこに、猫魔導士ムーンの杖から放たれた紫色の魔法弾が追撃。黒焦げとなったニャンバラットはその場に転がると、動かなくなった。


「ふん。回復してあげるから、さっさと倒してしまいなさいよね」

「ありがとう、ヴィーナス!」


 オレンジ色のローブを身につけたヒーラー猫、ヴィーナスの杖から、エメラルドグリーンの光が放たれた。猫戦士たちの傷が、癒されていく。


 飛田も負けるまいと、飛びかかってきたニャンバルーの腹部めがけてレイピアを突き立てた。

 ニャンバルーは傷を負い血液を垂らしながら、転倒する。


優志まさしィ! そいつの弱点は“土”属性だ。“土”属性の技、使えるなら使え!」

「ありがとうございます、ゴマくん! 土っぽい技……この魔法です! “プチクエイク”!」


 地響きと共に、ニャンバルーの足元に大きな穴が空く。穴に落ちたニャンバルーは身動きが取れなくなり、もがき苦しんでいる。


「オレが決める! どいてくれぇ!」


 武闘家猫ソアラの大きな声。飛田はソアラに道を開けた。

 全身に力を込めたソアラの右前脚が、水色の光に包まれていく。そして——。


「喰らえッ! 【100万馬力・猫パーンチ】ッ!!」


 ソアラの強烈な猫パンチが、ニャンバルーの顔面にヒット。血飛沫を散らしながらニャンバルーは吹き飛び、地面に叩きつけられる。程なくして、動きを止めた。


 襲ってきたモンスターはひとまず、全て倒せたようである。飛田はふうと息を吐いた。


「ソアラ、凄えなお前」


 驚いたような口調でそう言ったゴマが、ソアラに歩み寄る。


「あたぼうよ! オレは最強の格闘家になるんだからな! オレの“100万馬力・猫パンチ”を防げた奴は、誰もいねえんだ!」

「バカヤロ、最強はこのボクだ。前の戦いでのボクの活躍、知らねえってのか?」

「もちろん知ってるぜゴマ相棒! 前の戦いではとして無双しまくってたらしいじゃねぇーか! だが、オレは絶対、お前より強くなってやるんだ!」

「フン、言ってろ。誰が相棒だ。10年早いぜ」


 じゃれ合うゴマとソアラを見て、飛田はほっこり癒されていたのであった。


————


※ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

猫戦隊の活躍に期待してくださいましたら、

★評価、フォローをお願いいたします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る