36.いたずらタヌキ現る
突如知らされた、
守護神、“
「“夢幻獅子”とは……オトヨーク島より遥か西にある大陸——【チャイ大陸】に棲む伝説の生き物だ。その偉大なる力が、今の勇者ミオンのオーラから感じられる」
「全く、気付きませんでした。その……守護神さんは一体、どのようなことをしてくれるのでしょうか……?」
「もしもお主が窮地に陥った時、“夢幻獅子”がお主の元へと駆けつけ、力を貸してくれるであろう」
(マイルスさんの言う通り、ピンチにならないと助けてくれないのでしょうか。……そういえば星猫戦隊コスモレンジャーの猫さんたちには、みんな守護神がいるという話でした。もしや、私も星猫戦隊コスモレンジャーに仲間入りしたから、守護神さんがついてくれたのでしょうか……?)
「あの、俺にはその守護神ってのは、ついてくれてないんですか!?」
「リュカ、お主はこの“夢の世界”に来たばかりだ。お主の力がこの世界の神々に示されれば……縁はあるかも知れぬ」
「そうですか……。なら、気張ってかなきゃな! なあ、勇者ミオン!」
やはり、
「それからお主らが戦うべき魔族は……死ぬと、紫色の血が残るはずじゃ。覚えておくが良い」
「分かりました。色々とありがとうございます。また伺いますね」
マイルスの家を後にした
「リュカって呼び慣れないですよ……」
「ほら、こういうのはしっかり成り切らなきゃ。世界を救う勇者ミオン様だろ!? もっと胸張って堂々としろよ、ガハハハ」
「そうですね。でも……色々と不安なんですよね……」
そうこぼして青く染まる空を見上げた時——。また、謎の幻聴が聴こえてきたのだった。
『お前には無理無理。世界は魔王に支配され、破滅するポン』
「ん? どうした、ミオン」
「シッ。リュカ、静かにしててください」
首を傾げる
(それです……!)
幻聴の原因を突き止めた、その時——。
頭の中から何か出て来るような感覚がして、思わず目を開ける。
「チッ、見つかったか! ポンポコリン!!」
何と、
「……タヌキさんですか!?」
「……逃げるポン」
「む……逃がしません……!」
呆気に取られている
「ど、どうですか! 捕まえましたよ! 観念してください!」
「ヘヘッ、オイラは、【ポンタ】。お前を化かして本心を見えなくして、悩むお前を見るのを楽しんでるんだポン。お前に世界を救うのは、無理と言ったら無理だポン……」
捕まってもなお余裕そうなそのタヌキ——“ポンタ”の表情が、小学生の頃の飛田に嫌がらせを繰り返したクラスメイトの顔、そっくりであった。
「お前はドジだから見てて面白いポン。この後、お前は犬のウ◯コ踏むポン。ポンポコリン!」
当時の悔しさと悲しみが思い出され、溢れ出して抑えきれない。
「やめてください!」
「うがっ!?」
バチン、と痛々しい音が響く。
「な、殴ったポン、暴力反対ポンー!」
ポンタは涙目になりながら、草叢の中へとそそくさと逃げて行ってしまった。
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