19.魅惑のセクシーバニー・サラー


 飛田ミオンたちは、かつての勇者——マイルスに会いに、隣街モヤマへ行くことになった。

 モヤマへの道中には、今まで戦ったものよりも強い魔物が棲息しているという。出発する前に、装備と道具を購入し、しっかりと準備して行こうということになった。


 武器屋では、新しく【レイピア】が売られていたので、2本購入。


「ミオン様、鉄のつるぎと使い分ければ便利だよ。突く時はレイピア、斬る時は鉄の剣」

「なるほど……。さすが剣士を目指してるだけのことはありますね、ラデクくん。それにしても、レイピアって意外に重たいですね……」


 細身の剣であるレイピアは見た目に反し、扱うには相当な筋力が必要らしい。痩せ型の飛田ミオンにとっては扱いづらい武器となるだろう。


 サラーの武器としては【マグマの杖】を購入。

 店員が言うには、マグマの杖を振りかざすと何と“プチファイア”と同じ効果が発動するらしい。魔力の消費なしに、無尽蔵に火属性の魔法攻撃が可能になるというのである。


「うふふー。便利な杖ねー。さあ、早く防具屋へ行きましょー。セクシーな装備を探すのよー」

「サラー、遊びに行くんじゃないんだから!」


 そう言うラデクは、顔を赤らめていた。



 次は防具屋だ。

 飛田ミオンとラデク用に【鉄のよろい】2つ、【鉄の盾】2つを購入。


「あらー? これ、すごく欲しいー! これくださーい!」


 サラーが手に取ったのは——【バニースーツ】だった。


「試着してきまーす!」


 嬉しそうに、店内に入っていくサラー。

 ラデクは無言でのまま、顔を赤らめている。


 2分ほど経ち、バニースーツに着替えたサラーが店内から出てきた。

 ぴょこんとした黒いウサミミ。足元から鼠蹊部まで地肌が見える網タイツ。そして巨大な胸の形がしっかりと分かる、黒くて光沢のあるボディスーツ。


「これ、買いまーす」


 サラーはバニースーツを着たまま、店員にゴールドを支払った。

 その様子を見た飛田ミオンとラデクは……。


「……ごほん。じ……じゃあモヤマへ出発しますか……」

「ブフッ……そ、そうだね」

「ラデクくん……鼻血出てますよ……」


 この有様だ。そんな優志ミオンたちに、バニー姿のサラーは何食わぬ顔で話しかける。


「あらー? 2人とも、どうしたのー? 体調悪いのー? “生命の水”、飲むー?」


 こんな調子で、本当に大丈夫だろうか——。

 飛田ミオンは少しだけ不安を感じながら、ラデク、サラーと共に街道へと向かった。


 繁華街“モヤマ”へ、いざ出発!

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