第5話 物書きとクレーム対応




 なんか最近、アレな人にからまれるフォロワーさんが多くてですね。ぷんすかされている方をよく見かけます。


 というわけで、ちょこっと載せておきます。クレーム対応。

 こちらはあまりツマミにならず申し訳ないです。

 今回、さらっといきます。



 さて。


 私がいたとある会社では、クリエイターでもクレームの対応に関する研修を受けさせられたのです。私もちょっとおもしろく受講していました。その会社ではすぐ怒ることで有名な人がいたので、それに遭遇したときに実際に使ってみたのです。そうしたら、ちゃんと引っ込んでくれました。ああ、効果はあるんだな、と思った次第。あとでそれを見ていた同僚が「ぷふー。研修そのまんまやん」と笑い出しましたけれど。


 その内容はだいたいこんな感じです。



どんなクレームにも当てはまる「クレーム対応の4つの基本手順」

https://www.insource.co.jp/contents/claim_kan3.html



 1. 聞いてみて相手の気持ちに寄り添う。

 2, 何が問題になっているのか明確にする。

 3, 解決策を提示。

 4, クレームへの「お詫びと感謝」。


 この4つがポイントになります。



 まず不快にさせたんだろうな、そんな気持ちにさせちゃったんだろうな、ということを私が受け取りました、ということを相手に表明してあげます。

 その上で「何に対して怒っているのか」というのを質問で明確にします。

 それがわかれば、あとは対象方法を示します。たんに改善しますぐらいでもよいです。

 そして最後は「そんなに意見くれるぐらい読んでくれたってことだよな。ふふ、ありがとうだぜ」と言って締めくくります。



 やってみましょう。

 コメントでアレな人が来たときの返事としては、こんな感じでひとまず返せばいいかなと思います。


――――――――――――

ご意見いただきありがとうございます。

私が書いたものでご不快にさせてしまったことかと思います。

コメント拝見させていただいて「冬寂の薦めている創作論は幼稚でだらだらと長い」というところが問題のように感じましたが、そちらであっていますでしょうか?

幼稚で長めな文章をさらけ出してしまい、申し訳ございませんでした。

今後もさまざまな方からご意見いただき、よりよくしてまいります。

これからもご愛読いただければ幸いです。

それではよろしくお願いいたします。

――――――――――――


 文面的にだいたい4つのポイントが入っているのがわかりますでしょうか? 分解するとこんな感じです。


 1. 聞いてみて相手の気持ちに寄り添う。

   →ご意見いただきありがとうございます。

   →私が書いたものでご不快にさせてしまったことかと思います。


 2, 何が問題になっているのか明確にする。

   →コメント拝見させていただいて「冬寂の薦めている創作論は幼稚でだらだらと長い」というところが問題のように感じますが、そちらであっていますでしょうか?

   →幼稚で長めな文章をさらけ出してしまい、申し訳ございませんでした。


 3, 解決策を提示。

   →今後もさまざまな方からご意見いただき、よりよくしてまいります。


 4, クレームへの「お詫びと感謝」。

   →これからもご愛読いただければ幸いです。

   →それではよろしくお願いいたします。


 そのまんまですね。これをもらった意見に合わせて文面を変えていけば、とりあえずいいのではないかなと思います。


 私が研修を受けたとき、この4つのポイントはその通りなのだけど、怒られて頭パニックになったときは「無制限に謝らないで」ということだけでも必ず思いだして欲しいと言われました。無制限に謝ると、どんどん要求がエスカレートします。「これもあれも悪いから、平謝りしているんだろう」「何でも謝れば済むと思っているのか。なめるな」、と収拾つかなくなります。だからこそ「何が問題になっているのか明確にする」ことをして、それへの謝罪と対応だけに留めるというのが重要なのです。


 もうひとつこちらには「今後もさまざまな方からご意見いただき」というのを意識して入れています。「あなただけじゃないよ」ということを明確にして、「あなただけの意見が通るものではない」と伝えています。こうしておかないと、後日「言うこと聞くって言ったじゃないか」と劇詰めされる可能性があります。あらかじめこう言っておけば、「さまざまな方の意見を聞いているので」って逃げ道を用意できます。



 さて。


 こんなことをするのは悔しいですか? 腹が立ちますか?

 私も物書きだからわかります。私の書いたものの行間をそんなふうに読めるだなんて、すごい想像力だな、ぜひ何か書いてよ、とか、そういう人に当たったこともありました。


 でもね。


 テンプレに従ったほうが結局心が楽なんです。

 ほんと「めんどくさい」んです。

 こじれると何されるかわかりませんし、それにつきあう時間もタダではありません。時間があるのなら、一行でも書いていたいじゃないですか。

 だからこうしたテンプレに沿って対応したほうが双方速く収めることができ、結果的に自分を守れます。


 だいたいにおいて相手が言い出しているのは「あなたのために正しいことをわからせたい」ということが多いのです。この「虚ろな正義」は本当に厄介で、説得も何も効きません。だって言われている私たちは「悪」なんですから。悪の話を聞いてもらうようなヒーロー像は、たぶんクレームをつける人には存在しないのです。


 聞ける意見なら「なるほど」と返しますが、そうでないのなら「ありがとうございます」と言ってお別れするのが、お互いにとって良いことじゃないのかなと思います。



 とまあ、そんな話をしたところで。


 私は物書きは成長度合いに応じて、暮らしている世界が変わっていくのがよいと思っています。よちよちとした最初の頃は、ぬくぬくとした環境が必要なのです。いきなり外の厳しい世界に行くと、だいたい死にますから……。


 そして的確に返してくれる人が成長には不可欠です。私は本当にたまたまそういう人に恵まれました。私の何が悪いのか、何が良いと認めてもらえるのか。そうしたのを真面目に言ってくれる身近な人は、たいへん貴重です。そうした人に出会って欲しい。ほんとに。


 「厳しいことを言われたのであきらめる」という人はよく見かけます。それはいいか悪いかというより、悲しいことだと思います。だからどうしろというのも私の中では見つからないのですが……。一方で「こんなこと言いやがって」と、だんだんいろいろなものを硬化させていく人もいます。そういう人の最後もたくさん見てきました。


 なんかもったいないのです。

 いつか、こんな内容で「作家と環境」みたいなお話しができればと思います。



 今回はクレーム対応だけ、ちょこっと述べてみました。


 これが何かの参考になれば幸いです。


 それではよい作家ライフをー。





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