第81話 リヴァイアの思い出―― 1000年後の港町アルテクロスにいます。


 ――これで、きっぱりと『聖サクランボ』を辞められる。

 辞める理由が、まさかねぇ……。


 チェリーレイス……


 フレカちゃん。

 クアルさん。

 バム君。


 私が戦わなきゃいけないんだ。

 なんで知っちゃったんだろ?


 この子供たちの生い立ちにくらべて、私の人生なんか――


 案外、そうでもなくなって……きたのかな?

 



       *




「……女か?」

「……はい。私リヴァイアは女性です」

「……女のお前が、騎士団に入隊する?」

「……はい。私リヴァイアは騎士団に入隊したいのです」


「……名前をリヴァイア。前職は……確か」

「……はい。サロニアム修道会預り『聖サクランボ』で、修道士見習いをやってました」

「修道士の道を辞めて騎士団に入隊か?」

「……はい」


「……お前、死ぬぞ」


「……恐れながら」

「今は平時だ! 恐れなくていい……」

「はい……。私、リヴァイア・レ・クリスタリアは自らの命を捧げる覚悟で、こうして――」


「――死ぬぞ。いいんだな?」


「……」

「リヴァイア。どうして騎士団に入りたいんだ?」



 それは――



「……騎士団に入隊したい理由は、その妹を守りたいから、だと?」

「はい。そうであります」

「……お前は、どこか戦場の村かどこかに、妹を置き去りにしてきたとか?」

「いいえ……。そうではありません」

「……リヴァイア。その妹は今はどこにいるんだ? 本当に助けたいのか?」

「はい!」

「じゃあ……、どこにいるんだ!」



 リヴァイアは脳裏に『究極魔法レイスマ』の文面を思い出す。

 文面に書かれている預言を――

 私のこれからの人生、

 我の運命なのだから。


 しょうがないのだろう? ……なのかな?


「1000年後の港町アルテクロスにいます」


 我は入隊のときに、本当のことを告げたのだ。

 たとえ理解されなくても、本当のことを言って戦い――修羅の道へ進もうと思ったからだ。

 魔獣を、敵を、を殺す地獄の道。



 チェリーレイス



 けれど――

 1000年後に出逢う最愛のレイス。

 我の呪いの命に、わずかでも光を与えてくれるレイス・ラ・クリスタリアよ。





 第十二章 終わり


 この物語はフィクションです。

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