第2話 『クラスメートは、ライバル』 その1
かつて、ピラトさまが、キリストさまと、バラバさまのどちらかを選べと、民に迫った時、おそらく、ピラトさんは、まさか、民衆がバラバさんを選ぶなんて、おろかな選択をするとは、予想してはいなかったのではないでしょうか。
しかし、現代の指導者や、指導者を目指す社員は、それぞれの階層で、それに類するような、さやざまな手を打つチャンスを、片時も逃さぬように、模索しているらしいです。
バラバさんでもよい。と、いうわけ。
僕たちの両親は、たいへん、高潔な社員でしたが、それが、どうやら、同僚からも、現場のトップからも、恨まれていたらしいです。
まあ、本人たちは、そのように、考えています。
会社内の秘密事項は、家族にも語るなかれとは、されているようでしたが、わが妹とぼくには、筒抜けだったのです。
両親は、僕らがまだ、10歳にもならないとこを、利用して、憂さ晴らしの手段にしていたのです。しかし、あまい!
ふたりは、学校という場所の恐ろしさを、理解できないのです。
学校は、スパイの集団である。
ましてや、火星の学校は、なおさらです。
一部の、比較的上層部の本体に食い込んで、すでに、その一部と化した『ちょうちんあんこう族』は、別として、左遷された親の姉弟は、両親の復権を、常に背後から、狙っているのだあ。
また、教師もそうです。
校長先生は、若いキャリアと、もはや、最後の地となる、従順なノン・キャリがたどり着いた、最後の花道との、両方が、交互にやってきます。
教頭先生は、さらに、過酷です。
キャリアの場合は、なにかの事情で、一歩、出遅れている準若手と、もはや、校長の道も閉ざされ、深い崖から陥落寸前で、あとちょっとの花道を、つまり、退職時校長(退職日の一週間前から校長)、を狙って、這い上がろうとしている、血みどろタイプがありまして、大概、ペアにされます。拷問みたいなものだなあ。と、生徒たちは考えております。
火星の小中学校は、まさしく、戦場そのものなのでした。
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『地球からの転校生』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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