第13話 そして龍也は途方に暮れる

こうして晴れて莉子は、龍也と離婚することが出来た。

この「計画離婚」は、莉子だけの力だけでは成り立たなかった。

嫌なことだらけだったが、元職場の仲良しグループでの亀裂から始まり、社長であるダイスケの建設会社に勤めアドバイスを受けたり、同僚の離婚話、龍也という人間がどれ程のわからず屋だったということ。

それが充分に分かった。


そして若さゆえの過ちだった結婚、自分とは真逆な、龍也にひかれてしまった愚かな自分を、とことん嫌になった。

ただ良かったことは三人の子供達に恵まれたことである。子供達がいてくれたことでなんども救われた。

莉子にとっては大切なかけがえのない子供達である。


結局龍也はまた丸坊主になり、莉子の実家に来て両親に謝った。機会があればまたやり直したいと言ったが、それは何年経っても無理な話だった。


✤✤✤


独身に返り、初めて一人で迎える龍也の誕生日。

一軒家に残された龍也は、ガクトのスマホに連絡をし、寂しいからケントとレントも連れて来て欲しいと言ってきた。

莉子は激怒。

すぐにガクトに連絡取れないようにしなさいと言った。


✤✤✤


数年後、ケントもレントも就職し、莉子の肩の荷が降りた頃…。

可愛がられていたケントは、龍也にお金をねだられ莉子には秘密にし、月に三万円程渡していた。


そしてケントは三年後に、中学からの同級生の彼女と結婚する。

龍也にはもうお金を渡せないと断った。

すると今度は、ケントが金がないのなら、彼女の実家から借りて来い!と龍也はケントに言い放った。

これにはさすがのケントも大激怒!


スマホの電話番号やアドレス、ラインと、全て変え二度と龍也とは連絡しなくなった。

そうそう、弁護士さんと約束した養育費も龍也は一度だけ支払い、その後は全く渡してはくれなかった。

それでも莉子は、お金よりもスッパリと縁を切ることの方が大切だったから、お金の要求は一切しなかった。


✤✤✤


龍也は幼少期はとても優しい子供だった。小、中と成績は常にトップで、中学の卒業式では卒業生代表で送辞を読んだ。高校入学の時もトップで入学したから、新入生代表に選ばれ挨拶をした。その後、真面目だったはずが暴走族に入り、毎晩バイクを乗り回し警察にもマークされるようになる。

髪は金髪にし、タバコを吸い、お酒も飲み始め女にも全く困らなかった。

手が付けられなくなった義父母は、自宅から一軒離れた場所のアパートを借り、そこに龍也は一人暮らしをしていた。

龍也は高校一年生の時から、自由奔放にしてきたのである。

そんな時に、ウブで真面目で美人の莉子に出会い、絶対モノにすると決め結婚した。

そして初めて振られた相手が莉子だった。


そのまた数年後龍也は五十三才の時に長年勤めた会社を辞め、退職金二千万を手にし、しばらく仕事もせずギャンブルをしていたらしい。

今では家を売り払い、龍也の行方は誰も知らない…。


✤✤✤


反対に莉子一家は息子達全員結婚し、それぞれ子供にも恵まれ、莉子はようやく幸せを手にした。


そしてダイスケとの出会いも二十年にもなるが、結婚にこだわらずパートナーとして、順風満帆の日々を暮らしている。



おわり

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計画離婚 @sekai_18

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