誓い

「ただいま。」

「おかえりー!お疲れ様」

いつも元気よく迎えてくれる

かなを見ても、少しだけの罪悪感もなかった。


「仕事大変ね!今日はかつが好きなパスタを作ったよ!」

「ありがと。とても嬉しいよ」


あーそうか、オレはパスタも好きで、白ワインも好きで居なければならない。


これからも演じていかなければならい。


オレは何も捨てられていない。

捨てられていないのに、新しい何かを、求めては自分を殺して生きていくのだ。


それも、もう苦ではない。

全てを投げ捨て、捨てる覚悟はできている。

ただ、唯一自分が自分で居られる場所を見つけたから。

これから、何があっても、どれだけ求めても、手には入らない。

ただ、いつかその場所を手に入れたいとおもった。


「かな?ありがとね」

「どうしたのいきなり?」

「なんでもない、これかもよろしくね」

「なによ!急に変な事言わないでよ!」


汚れた手で、かなを抱きしめる事はしなかった。



他人とのズレ、

人との価値観の差

膨れれば膨れるほど、自分が孤独になっていく

その中で見つけた唯一の居場所

もう一度人を好きになる事を教えてくれた人

それはこれからも離したく無いと、初めて心から思えた大事な場所。


みかと初めて行くお店、いつもの景色も自分にとっては、ずっと忘れる事のない大切な宝物。

何にも飽きて、捨ててしまう自分が、唯一これからもずっと大切にしたいと、思った宝物。


この恋の後は何も残さない、いつ両手から溢れてもおかしくはない、それでも最初で最後の大切な恋。


ありがと。


愛が何かを教えてくれて

ありがと…

そして、少しだけ待たせる事を許しておくれ…

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揺揺 星クロ @hoshi96

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