第5話仮面
裕也には、申し訳ないが
これが自分の本心なのだ。
いや、むしろ申し訳ないとも思っていないのかもしれない。
他人とのズレを、嘘で合わせてきた自分には、
他人の嘘なんて、すぐにでもわかってしまう。
その優しさに、恥ずかしくなり、嫌になり、そんな自分勝手な感情を抑えられなくて、思いのままに生きていく事が楽だった。
日常に飽き
非日常に足を踏み入れても、
非日常すらも日常になる、
そんな自分の心が嫌いで、それなのに自分の心に正直に生きている時が一番楽だと感じてしまう。
「オレにはわからないんだ、
相手が幸せになってくれたら、自分も幸せになれるって言う感情も、
誰かのために尽くす喜びも
わからないんだ。
今の嫁といる時も最初はそう思えるように、努力はした、
けどやっぱり、その仮面を被っているのに、疲れてしまうんだ•••」
「かつ?別にそれでもいいんじゃないか?
みんなと同じである必要なんてないだろ
どっちのかつも、オレにとっては大切な友達だ、気にするなよ。」
そういう言い放つ裕也の笑顔は、まだいつもの笑顔ではなかった。
「ありがとう。」
そう言って好きでもないスコッチを飲み干し、
店をでた。
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