第14話 先の長い道筋を歩むから、まだまだ俺たちの冒険は終わらない!
「行こうぜ、相棒!」
「ああ」
アレンに呼ばれ、声のする方へと歩む。
俺の向かう方向には、アレンの他に、ヴィラン、アイリス、モナの3人が待っていた。
数日間、寝込んでいた。
風邪が完治し、今日は病み上がりでの依頼となる。
──体が軽い。
……身軽であった。
最近は、ずっとベッドの上でゴロゴロしているだけだった影響からか、こうして自由に動き回れるのがとても楽しく感じている。
「レオ、待ってたぞ!」
ヴィランはガハハと相変わらずのデカい声で笑いながら、
「風邪がぶり返したら困るんだから、あんまりはしゃがないでよね!」
モナは、調子に乗るなと伝えてきつつも、心配そうな面持ちで、
「レオさん、無理はしちゃだめですからね」
アイリスは控えめながらも、俺の復帰を祝ってくれているかのような優しげな雰囲気で、
4人が、俺の復帰を暖かく迎えてくれる。
──本当に最高の仲間たちだよ。
──気落ちしていた俺を救ってくれたヴィラン。
相棒として常に隣に立ってくれていたアレン。
パーティの雰囲気を和やかにしてくれたアイリス。
いつだってパーティメンバーのために動いてくれていたモナ。
──こんなに素晴らしい仲間と巡り会えたのは、俺の人生にとって、最高の幸運だよ。
しっかりと地面を踏みしめ、俺は4人の待つ方へと向かう。
完全復活の【エクスポーション】
俺たちの旅路に終わりは未だ訪れない。
「じゃあ、今日も行こうか!」
俺の宣言にそれぞれが頷く。
「相棒の復活祝いだ。盛大に難しい依頼を受注しよう!」
「そうね。休んでいた分、働いてもらいましょう」
アレンとモナの息ぴったりな悪ふざけにも似た戯言を聞きながら、
「……ちょっ、それは勘弁な」
困り顔で受け応える。
「レオさんは、今日どこに行きたいですか?」
「ははっ! レオは絶対にこう言うぜ! ……取り敢えず、スタンピード以外っ、てな!」
アイリスとヴィランは笑う。
「まあ、スタンピードは当分いいかな」
「ガハハッ! そう言うと思ってたぜ。だから……」
ヴィランは冒険者ギルドに貼ってあったであろう1枚の貼り紙を大々的に見せつける。
「クイーン・ポイズンビーの討伐 こいつなら、いいだろ!」
高難易度の依頼。
依頼受注条件は冒険者パーティランクがA以上のもの。
「いや、それすっごい難しいやつじゃねぇか!」
「復帰戦に丁度じゃねぇか! お前の腕が鈍ってないか、確かめないとな!」
──まったく、相変わらず突拍子のないことばかり言いやがる。
──でも、
「まあ……いいか」
「だろ?」
「なんたって俺たちはSランクパーティ【エクスポーション】だもんな!」
そう言い、誇らしげに微笑んでやった。
Sランクパーティの冒険者になるという夢のようなことを現実に叶えた元役立たずの盾役。
俺は、仲間と共に進み続ける。
「じゃあ、行こうか。クイーン・ポイズンビー討伐」
「ああ、相棒の背中は俺が守るよ」
「ガキどもの活躍を俺は後方から見守っててやるよ!」
「はぁ……アイリス、私たちも」
「うん、モナちゃん!」
今日も壁外へと向かう【エクスポーション】の後ろ姿は、周囲の注目を集めるような神々しいものであった。
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